ドイツ紙「南ドイツ新聞」は30日、約3か月後に迫った東京五輪を前に〝開催ありき〟の一点張りを貫く日本政府に疑問を投げかけた。

 日本では東京都などの4都府県で緊急事態宣言が発令されているが、開催を前提に話が進んでいることから「東京五輪の擁護派は、自分たちが思っている以上に(五輪を)壊しているのかもしれない。コロナ対策用に改良された衛生ルールの提示には不満が残る。日本政府は健康危機を深刻にしているものをすべて遮断しようとしているようだ」と批判した上で「決断が日に日に押し流されていき、中止になったときのインパクトがより大きくなってしまう」と苦言を呈した。

 さらに「インドでコロナが猛威を振るおうが、新しい変異株が猛威を振るおうが、東京の人々が自信を失っていようが、五輪関係者の利益が守られている限り、どれも重要ではないようです」と商業五輪の弊害を指摘。そのため、利害関係者が決断に踏み切れず「日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)は、全体を公平に見ることができない」と皮肉った。

 ただ、改善策もあるという。「(最終的な判断を下すために)他の人が対処しなければならない。例えば世界保健機関(WHO)や他国の政府やスポーツ連盟などだ」と提案し「ドイツ政府とドイツの五輪スポーツ連盟は、最終的にコロナ禍の中での大会を正当化できる理由を明確に提示しなければならない」と厳しい論調でつづった。

 東京五輪の開催について厳しい声が相次ぐ中、まずは開催可否の判断基準を提示する必要がありそうだ。