29日のニューヨーク外国為替市場の円相場は円が対ドルで下落し、一時1ドル=137円台を付けた。日米の金利差拡大を意識した円売りドル買いが進み、1998年9月以来、約24年ぶりの円安ドル高水準を更新した。新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が減った中、在日外国人にとってはウハウハな状況のようだ。

 2か月前の4月末、対顧客相場(民間銀行の電信売り相場)で1ドル=129・86円だった円レート。5月末に128円台に上がったものの、6月は急落した。

 他の通貨に対しても円は安くなっている。同相場を見ると、この2か月で英ポンドは1ポンド=165・54円から169・13円に。EUユーロは1ユーロ=137・33円↓143・53円。中国元は1元=19・88円が20・43円に下がっている。

 日銀が大規模な金融緩和策を維持する一方で、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のため金融引き締めを加速している。そのため外為市場では、低金利の円を売って、金利の高いドルを買う流れが続いている。基軸通貨ドルに対する円安は、他国通貨との交換にも影響を及ぼしている可能性がある。

 歴史的な円安で日本が苦しむ中、外国人が日本で大量の商品を購入する場面も見られるようになった。実際、中国国営メディア「CCTV」(中央テレビ)は先日、「在日外国人が日本で大量に商品を購入し、自国で転売し大きな利益を上げている」と報じた。

 ユーチューブチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」で日中の情報を発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「中国メディアは円安の影響で、日本のスマートフォンやゲーム機器、ブランド品が大量に外国人によって購入されていると伝えています。中国人転売ヤーが特に注目しているのが日本で販売されているアイフォーンで、定価9万8000円の最新モデルを日本で購入し、中国で転売した場合、約2万円ほどの利益を得ることができると説明しています」

 また、日本では新型コロナウイルスが落ち着き、外国人観光客の受け入れに積極的な動きを見せている。

 周氏は「インバウンド需要を見据えた日本の民泊物件などの不動産購入も活発になっており、中国人向けのSNSでは、日本の不動産物件を宣伝する動きも増えてきています。観光資源である物件や土地の外国人による購入が進めば、不動産会社は一時的に利益を得ますが、その後の長期的には観光利益は海外に流出することになり、日本にとっては手放しで喜んでもいられない状況です」と指摘している。

 それでも、コロナ禍前のような中国人観光客による“爆買い”が復活するかといえば、そうではなさそうだ。

 大手旅行代理店関係者は「コロナ禍前の2019年には約959万人の中国人観光客が来日していただけに、期待されています。しかし、中国ではコロナ禍による経済危機で公務員や民間企業の給料が大幅カット。日本旅行をする余裕がある人は以前ほどいないよう。インバウンドが再開したことで中国からの予約を待っているんですが、伸び悩んでいます」と明かす。

 転売ヤーや大金持ちによる土地の買い占めは行われるが、地方旅行や爆買いでお金を落としてくれる一般観光客は期待できないということなのか…。