北朝鮮の朝鮮労働党が6月上旬の開催を予告している中央委員会総会では、新型コロナウイルス対策や経済問題が主要議題になるとみられる。2018年の総会で凍結を決めた核実験に絡み新たな判断を示す可能性もある。その北朝鮮のSDGs(持続可能な開発目標)事情が日本への漂着ゴミで明らかになった。

 日本海沿岸の離島に5月上旬、北朝鮮からペットボトルが流れ着いた。地元メディアが“金正恩総書記の肝いり”とする「5・1健康飲料総合工場」が、今年3月3日に製造したパイナップル牛乳の空きボトル。外装フィルムには、中心にハングルで「ビニール類」と書かれたリサイクルマークも印字されていた。

 北からの漂着物を収集している民間研究者によると「以前は、人がゴミ箱に捨てるピクトグラムだった。それがリサイクルマークに変わったのは、当局主導の運動なのだろう」。北朝鮮は一昨年4月開幕の最高人民会議(日本の国会に相当)で再資源化法を採択し、全ての部門で国産化と再資源化を「経済発展の動力にする」と定めている。

 同年1月から北朝鮮は、新型コロナの防疫措置で事実上の鎖国に。足元の経済は資源不足で瀕死の状態。プラゴミのリサイクル義務化は苦肉の策なのだろう。

 ただ、3年前に脱北した男性によれば「地方に住む庶民は、ペットボトル飲料が欲しくても、高くてとても買えなかった。空になったボトルは使っていたけど」とのことだ。聞けば北朝鮮の国民は、富裕層が飲み終えた空のペットボトルを、水筒や水物の容器として再利用。しょうゆなどの調味料や密造酒を商人が量り売りしている闇市場では、丈夫でキャップが閉まるペットボトルが重宝される。使い古して衛生的に耐えられなくなったボトルは海に捨てられるといい、それが波に揺られ日本海沿岸に漂着するというわけだ。

「拾った中には、本来のキャップでなく色違いのフタが付いている空きペットボトルも。『梨ジュース』のボトルに焼酎が少し入っているのもあった。庶民が再利用している証拠」(前出の研究者)

 皮肉にも貧困を強いられる北朝鮮国民が独自に始めたリサイクルはすでに確立しているようだが…。