ロシアは9日、旧ソ連時代の第2次大戦での対ナチス・ドイツ戦勝77年を祝う記念日を迎えた。当初はプーチン大統領によるウクライナ制圧の勝利宣言が行われると予想されていたが、ウクライナの抵抗により戦況は膠着。勝利と呼べる状況ではない。一方でプーチン氏は、記念日を機に「特別軍事作戦」を「戦争」に変更し、国民を総動員するとの見方もある。戦争は泥沼化するのか? 専門家が今後の展望を予測した。
ロシアでは5月9日には毎年、首都モスクワの赤の広場で記念式典が行われ、軍事パレードなどの演出が繰り広げられる。今年はウクライナ東部ドンバス地方の掌握を手土産に勝利宣言するとみられていたが、ウクライナ側が激しく抵抗。占領地域を奪還する勢いで、ロシアの勝利宣言は難しい見通しだ。
戦果のアピールが難しい中、プーチン氏がウクライナへの「特別軍事作戦」から「戦争」への変更を宣言するともささやかれている。
元警視庁刑事で日本安全保障・危機管理学会インテリジェンス部会長の北芝健氏は、対ウクライナ宣戦布告について「やらざるを得ないだろう」と指摘する。
「これまでの戦いで多くのロシア兵が死亡・離脱し、士気が最低になっている。新たなロシア軍を組織してウクライナに充てるのだろう」
ロシアには18歳以下の少年からなる「ユナルミヤ」と呼ばれる青少年団体が組織されており、約85万人が所属している。
「ナチスドイツのヒトラーユーゲントのように10代の子供たちを集め、『この国のためなら命はいらない』という教育がされている。次の兵隊として募っており、宣戦布告で年齢の高い子供たちをウクライナ戦線に追加投入すると言われている。戦勝記念日にもパレードさせるだろう」
パレードには“終末の日の飛行機”とも呼ばれ、核戦争が起きた際にプーチン大統領が搭乗し、指揮を執る空中指揮機「イリューシン80」も披露されるとみられているが、「出すでしょう。“核のカバン”も見せつけ、戦術核を使うという意思表示をするのでは」。
戦勝記念日を機にさらに戦争が泥沼化したり、戦線が拡大する可能性もある。果たして今後はどう展開していくのか?
北芝氏によれば「英米の軍事情報筋の間では、年末にロシアが音を上げると言われています」。その理由として、11月8日に行われる米国中間選挙の結果が影響するという。
「中間選挙で共和党が勝利し、ウクライナに対する軍事支援が強化されます。武器だけでなく傭兵の形で人も入れると言われている。ウクライナ支援をしている西側諸国がドンバス2州とクリミアからロシア兵を追い出すと言っており、そこまで行く可能性がある」
何の戦果も得られなければ、プーチン氏の求心力が大きく低下する事態にもなりかねない。心配なのは、“やけくそ”になったプーチン氏が核使用に踏み切ることだが、その可能性はないのだろうか?
北芝氏は「戦術核はあり得るが、スイッチを押した瞬間に英、仏、米から反撃される。特に英国が怒ってますからね。先日、ラブロフ外相が『ヒトラーもユダヤの血』などと発言してイスラエルを怒らせましたが、直ちにプーチンが謝罪した。これはイスラエルが核を持っていて、怒らせると撃ってくるのが分かっているから。自国の都市が焦土になれば、責任を問われ自分の命もなくなる」と否定的だ。
さらにプーチン氏には、今後を見据えた動きがみられるという。
「プーチンは戦勝記念日後に甲状腺がんと胃がんの手術を受け、手術が成功すれば死ぬ気はない。プーチンは北朝鮮の借款の9割をチャラにした代わりに、北朝鮮の金一族が国内政治に失敗した場合にロシアに亡命するためのトンネルを整備させている。生きて北朝鮮に逃げるシナリオがあるんです」
独裁者の行く末は果たして――。












