東京都は17日、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言に伴う休業要請を拒否し、酒類の提供を続ける都内の飲食店33店舗に対し、改正特別措置法45条に基づく休業命令を出した。店名は公表していない。4月に発令された3回目の宣言で命令に踏み切ったのは初めて。

 酒類提供禁止の影響で、日本を代表する豊洲市場の水産仲卸売場棟は閑古鳥が鳴き、仲卸業者の死活問題になっている。

 ある水産仲卸業者は「仲卸業者は前年同月比の売り上げが50%減であれば給付金が支給されますが、50%減だったら倒産しますよ。水産仲卸業者は2回目の緊急事態宣言が出た段階で限界だった。それが、取引先の飲食店が今月末まで酒類提供禁止で大半が休業。スーパーなどの取引も激減。このままだと水産仲卸業者の倒産が相次ぎますよ」と明かす。

 国内の中央卸売市場で取引される魚介類の約4分の1が集まる豊洲市場は世界最大級のフィッシュマーケットだが、飲食店の休業だけでなく、アジ、イワシ、サンマなどの大衆魚の不漁が重なってスーパーなどの取引が減少。2回目の緊急事態宣言が発令された1月の段階で水産仲卸業者は「限界だ!」と悲鳴を上げていた。

「今年の1月には大正2年に創業した老舗の総菜仲卸の『山三秋山』の破産が決定したんです。他にも弱小の仲卸業者が店を閉めてます。3回目の緊急事態宣言で、水産仲卸売場棟はゴーストタウン化。市場の勢いは全くありません。せめて飲食店への酒類提供禁止をやめてもらい営業再開してもらわないと、豊洲の水産仲卸業者の倒産は避けられません」(市場関係者)

 小池百合子東京都知事の英断に期待したい。