人が消えた…飛田新地全店休業 コロナ禍を生き抜く色街の今

2021年04月27日 11時30分

休業のお知らせ

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく3度目の緊急事態宣言が発令された大阪府では25日以降、百貨店やショッピングモールなどの大型商業施設が休業した(食料品売り場などは除く)。一方で、休業要請の対象外である西成区の“ちょんの間”料亭街「飛田新地」は全店舗休業に踏み切った。コロナ禍から1年以上がたった現地の様子を取材した。

 緊急事態宣言の発令を受け、百貨店やショッピングモールは、地下の食料品売り場などを除き休業。ミナミの戎橋周辺も、一部若者や外国人の姿が見られたが、日曜日とは思えないほど閑散としていた。

 今回の緊急事態宣言では、床面積が1000平方メートルを超える大型商業施設に休業が要請されている。一方で、それ以下については、酒類提供の自粛や午後8時までの営業時間の短縮などを求めているものの、多くのカテゴリーで休業要請にまでは踏み込んではいない。

 そんな中、約160店が軒を連ねる飛田新地は全店休業に踏み切った。各店舗には「緊急事態宣言発出に伴い全店舗休業致します。期間4月25日~5月11日まで(蔓延の状況により変更有り)」という飛田新地料理組合員一同の名前の張り紙が掲示されていた。

 静寂をたたえた街並みを歩いていた男性は「やってませんでしたね。でも、この雰囲気も悪くないんで一通り見て帰りますわ」と話した。

 飛田新地が全店休業に入るのは、昨年の1回目の緊急事態宣言以来。組合関係者は「まん防の時から営業時短はしていて、緊急事態宣言もあるだろうと話し合っていた。玄関口で客と接する従業員の方々が率先して理解を示してくれた。法的に我々に休業要請が出たのかは定かではないが、人流を止めるという趣旨ですので、組合が一致団結して休業することに決めた」という。

 コロナの影響が長期間に及び、多くの企業や個人事業主がダメージを受けている中で、飛田新地の経営者も例外ではない。廃業に追い込まれた店はないというが、「感染が緩むとお客さんも増えるけど、増えると目に見えて来なくなる。コロナ前に比べると、お客さんの数は1割とかになっていると思う。従業員もお金が儲かるところに行くのは当然やし、暇なところにはついてきてくれませんわ。1年以上続くとさすがにキツイですよ」(前同)

 飛田新地では昨年の緊急事態宣言中から、全ての料亭の従業員を対象にしたPCR検査、抗原・抗体検査を月に2回、独自に実施。現在も継続しており、検査数は1万5000件にも上るという。そのかいもあってか「新規雇い入れの従業員を検査したら、かかっているということもあったが、クラスターは一切出ていない」と話す。

 売れっ子は一日に何人も相手にサービスを行うこともあり、“濃厚接触”が前提のちょんの間では陽性者が出ればたちまちクラスターとなりかねない。発生すれば自主休業も覚悟していたという中で、クラスターを封じ込めている要因は何なのか。

 前出関係者は「もともと従業員が口内洗浄して仕事するのは当たり前やけど、お客さんにもお願いしてきた。これくらいしか理由が考えられない」と推測。手指消毒や検温などともに感染対策として客に求めている口内洗浄を挙げた。

 料理組合ではゴールデンウイーク明けのPCR検査、抗原・抗体検査を準備するなど、緊急事態宣言明けに向けた話し合いも進めているという。

 色街がにぎわいを取り戻す日はいつになるのか。

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