23日に発表された東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は366人で、過去最多だった17日の293人を大幅に上回った。大阪府で104人、愛知で97人を数えるなど国内の新規感染者は981人となり、2日続けて過去最多を更新。4連休の初日で政府の観光支援事業「Go To トラベル」により観光地がにぎわいをみせる中、悪化傾向が顕著になっている。依然として未知の部分が多い同ウイルスだが、確実に分かっていること、今後起こりうることを専門家が解説した。

 緊急事態宣言下の東京(4月7日~5月25日)では、4月17日の206人をピークに新規感染者数が減少していた。5月23日にはたった2人だった。しかし、同宣言解除後はみるみる増えだし、7月に入ってからはほぼ毎日100人超えの日々で、増加の一途だ。

 小池百合子知事は23日に、都庁で報道陣の取材に応じ「(366人は)非常に大きな数字だ。この4連休はできるだけ外出を控え『感染しない、させない』という意識を持ってほしい。皆さんのご協力で拡大を止めていかなければならない」と述べた。

 前日の会見では「引き続き感染拡大警報の状況にある。第2波という心構えを持って、より一層、警戒する必要があると認識している」と呼びかけたが、感染拡大は止まらない。

 これは第2波なのか?感染症に詳しい、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広氏はこう指摘する。

「第2波とみていいと思う。感染者の数が急に増えているので、感染力は強そうという印象だが、まだ一概にそうとは言えない。確定していることは、10代など若者が感染した新型コロナの遺伝子型が、これまでのものとは違うようだ。その若者が感染している新型コロナには東京型、埼玉型がある。急に感染が広がっているので、状況を見ると感染力は強そうだ」

 増え続ける東京都については「急に増えたので深刻な状況。基本的に死者が増えるのは、一定の感染者が増えてから。志村けんさんも、感染してからお亡くなりになるまで何週間か時間が経過した。死者数がいま少ないからといって、将来もそうなるとは限らない。今は感染者の数が増えている。(ウイルスの)ゲノム(全遺伝情報)が異なっていて、弱くもなるし、強くもなるから注意が必要です」と言う。

 たとえば、毎年流行するインフルエンザは高気温と高湿度に弱く、冬に流行し、夏はほとんどなくなるものだった。当初、この新型コロナもそのパターンとなる可能性が指摘されていたが、梅雨の今こそ増えている。

 上氏によれば、今の日本は想像以上に深刻な状況にあるという。

「真冬の南半球では、感染者数が増えてはいるが、真夏の北半球で感染者数が急増している先進国は、日本と米国だけ。欧州や韓国、中国はそんなことを起こしていない。日本の状態は異様で、これはPCR検査をしていないので感染を許したからです。大きな流行の収束期には、小さい特徴的な流行を繰り返すので、中国の北京では、無症状の人も含め800万人に検査をして、陽性者をあぶり出して隔離した」

 日本の1日あたり可能なPCR検査数は、約3万件にまで増えた。

「日本はクラスターの予防をしないのでこういう実態を招いた。ある程度流行しているので、手がつけられなくなっている。米国のニューヨーク州は、750か所にPCRセンターを作り、一日の目標件数は600万件と公言している。無症状の人を検査しないと封鎖できない。PCR検査数が著しく少ないのは日本だけ」と話している。