【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】フィリピン国家捜査局(NBI)が先月29日、新型コロナウイルス検査キットの無許可販売で逮捕したのはなんと、かつて人気を博したグラビアクイーンとその母親。いいさらし者にされ、現地で話題になっている。

「捕まったアヴィ・シワは、2000年代初頭にテレビや雑誌で活躍。04年には英男性誌『FHM』のフィリピン版で表紙を飾り、これで人気に火がついて映画にも出演した。その後、芸能界を引退し実業家に転身。今は40歳という年齢を感じさせないセクシーな自撮りをインスタグラムに投稿し、往年のファンを中心に2万人のフォロワーがいる」とは、首都マニラ在住駐在員。

 元芸能人という話題性からか、NBIは報道クルーを従え自宅に乗り込んだ。突然の出来事にアヴィ容疑者はひどく狼狽。それでもマイクを突き付けられると「許可はきちんと得ているわ。無罪よ」と繰り返し主張した。警察へ連行されると、両手の指紋を採取されるシーンまで撮られ、名前と日付入りの紙を持たされ、マグショットを撮影する場面も全国放送された。

 アヴィ容疑者は健康食品や美容関連グッズなどを販売する会社を経営していて、コロナが蔓延してからはサージカルマスクや防護服、体温計などを中国から大量に輸入。その中に許可のないコロナ検査キットがあり、それを7万ペソ(約15万円)で販売したとされる。また米の売買も手掛け、代金を払ったのに商品が送られてこないと客から訴えられ、詐欺の疑いもかけられている。

 実は以前から“お騒がせクイーン”で有名だった。「4年前、恋人のフランス人実業家マーク・ランバート氏との間に子供ができたが、すぐ破局。マーク氏が満足な養育費を払わないとインスタでブチまけ話題になった。その後、すぐマーク氏がフィリピン人女優ヴィナ・モラレスと付き合いはじめたことに激怒。元グラビアクイーンが4歳年上の現役女優に男を寝取られたと、メディアの格好のエジキになった」(前同)

 5日間拘束され保釈となったアヴィ容疑者はインスタで反撃開始。7日には「ニュースで出たことは全てウソ。私を失墜させるために仕組まれたもの」「当局が私と私の会社に行ったことに、憎しみを覚える」などと投稿。徹底抗戦の構えだ。

 フィリピンのコロナ感染者は2万2000人余り、死者は約1000人。東南アジアではシンガポールやインドネシアと並び、抜きんでている。今週からようやく美容院の営業や酒類の販売が解禁されるなど、ロックダウンは段階的に緩和されているが、予断は許さない。そんな状況の中、コロナで違法にひと儲け考えていたのなら、大きな批判を浴びそうだ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。