新型ウイルス発生させた?中国内陸の「野味=食用野生動物」信仰

2020年01月30日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】中国肺炎パニックの感染源と言われる湖北省武漢市の「華南海鮮卸売市場」は、100種類超の「野味(食用野生動物)」が売られていたエリアで、多数の新型コロナウイルスが検出されたという。疑われたのはヘビやコウモリ、タケネズミやアナグマ、コオロギ。そうした生物の体液や糞に含まれるウイルスを、市場関係者が吸い込んだと考えられている。

 中国のSNSで拡散している内部写真を見る限り、この市場はかなり不衛生。動物の毛や皮、肉片や血が地面や壁に飛び散り、清掃は行き届いていない。狭いオリにほこりまみれの動物が押し込められ、糞尿は垂れ流し。下水のニオイもひどそう。

「沿岸大都市部では改善が進んでいるが、武漢のような内陸では未整備な昔ながらの市場が多い」とは、上海在住駐在員。東南アジアと接する雲南省南部の市場も不衛生この上なかったという。

「脚を縛られた家禽類が暴れると、羽やほこりが舞って目が痛かった。汚いオリに入ったカモは、大量の糞が悪臭を放ち、獣臭もキツく吐き気を催す。近隣の山岳少数民族が狩猟で捕まえた野生動物を持ち込むことがあるとかで、何の肉か全く分からない生き物も見かけた。異様な臭いが立ち込めるそばで、市場関係者が雀卓を囲んで盛り上がっていた。不特定多数の人々が、雑菌まみれで行き交う印象」

 17年前にアウトブレーク(集団発生)を起こしたSARS(重症急性呼吸器症候群)も、やはり中国の南東沿岸・広東省の市場で売られていた野生動物が感染源とされる。

「野味は家畜より栄養があり、また滋養強壮にもいいと信じられていて、漢方薬の原材料にも使われている。正体不明のウイルスを持っている可能性があっても、中国人の“野味信仰”は強い」(前同)

 中国当局はここ数年、「文明化」をスローガンに掲げ、近代化を進めるのに躍起だ。その一環で市場の環境整備、市街地や大都市から市場を撤去し、郊外に移そうとしていた矢先の肺炎パニックで、国際社会に恥をさらした格好。

「中国全土で今、市場の取り締まりが行われているが、昔ながらの市場は今後、急ピッチで消えていくのでは」と駐在員は指摘する。

 問題の市場から30キロほどの「武漢病毒研究所」から“生物兵器級”のウイルスが漏れた説もあるが、いずれにせよ人災であることに変わりはなさそうだ。

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。