ベトナムのヤリ部屋「ニャギ」 性モラル大崩壊と嘆く大人たち

2019年05月30日 16時00分

地元の若者が性を謳歌するニャギ

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ベトナムは性に対し保守的で、儒教的価値観から本来は「婚前交渉などもってのほか」というお国柄だ。だが「経済成長し、豊かな社会の中で育った若者は性に奔放」とは首都ハノイ在住記者。その舞台となる簡素な宿泊施設が「Nha Nghi(ニャギ)」だ。

 社会主義国のベトナムでは、外国人観光客が夜の女性をホテルに連れ込むのはご法度。結婚している証明書を提出する必要があるからだ。そんなとき利用されるのがニャギ。バックパッカーが泊まる安宿でもあるが、ラブホテルとしても利用されている。地元の若者たちはニャギにこもって“性春”を満喫。休日は利用料金が3倍にハネ上がるが、混み合う。

 カップルだけでなく、売買春の温床にもなっている。スマホを駆使した出会いの場でもあり、チャットアプリなどで相手を見つけ、ニャギで待ち合わせ、見知らぬ同士サクッとコトを済ませる男女が急増。「性的モラルが崩壊している」と大人たちは嘆く。

 一方で、避妊知識が乏しい若者が多い。ベトナム保健省や地元医師は「10代のうち、性交渉の際に避妊しているのは2割以下では」と危惧。コンドームを装着するタイミングが分からないという若者までいるという。

 ベトナムの平均月収は400万~600万ドン(約2万~3万円)だが、コンドームは1個50円前後。賃金と物価を考えると相対的に高い。購入をためらう若者もいる。ベトナム国内で出回っているコンドームのうち3割近くが粗悪品で、避妊していながら“誤爆”する可能性があるという。

 前出記者によれば「日本が世界に誇るコンドームメーカー『オカモト』も進出し、薄くて感度が良く丈夫と評判だが、値段は高く、庶民にはなかなか手が届かない」。「IUD」という避妊リングも普及しているが、子宮内に装着しなくてはならず、女性の負担が大きいため、使用をやめてしまうこともあるという。その結果“デキ婚”カップルが多くなっており、同時に“望まれない妊娠”も増えてしまった。

 WHO(世界保健機関)の統計によると、ベトナムでは年間100万件を超す人工中絶が行われている。この数字は世界トップクラス。うち中高生は10万~20万件といわれる。男子優先の文化があり、授かった子供が女児と分かると中絶してしまう夫婦も。将来的に男女の人口バランスが崩れる可能性もあるという。

「妊娠しても、その半数近くが中絶を選択しているのでは。避妊しないことで性感染症も増えている。ベトナムは特にB型肝炎の感染者が多く、WHOは人口の1~2割が感染しているとまで警告。現地在住邦人や出張者にも性病はひそかに蔓延している」(前同)

 ベトナムでハメを外すのは要注意だ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。