新日本プロレスの年間最大興行「レッスルキングダム14」(4日、東京ドーム)のメインで行われたIWGPヘビー級選手権は、王者のオカダ・カズチカ(32)が昨年のG1クライマックス覇者・飯伏幸太(37)の挑戦を退け、5度目の防衛に成功した。

 全身から闘志をたぎらせて花道を入場した挑戦者とは対照的に、白いガウンに身を包んだ王者はド派手な入場シーンで会場を沸かせた。序盤は静かな立ち上がりだった。まるで選ばれし者だけに与えられた空間を楽しむかのように、2人だけの時間が過ぎた。

 だが、スイッチを入れない挑戦者にイラ立ったのか、オカダが仁王立ちで「どうしたんだ! 来い! このヤロー!」と奮起を促す場面も。さらにコーナートップの飯伏を場外に落とし、鉄柵越えのボディーアタックを決めるなど、一方的に王者が攻める展開が続いた。

 だがレインメーカーをかわした飯伏は、ここから目の色が変わった。次第に狂気の笑みを浮かべ、場外の王者にコーナートップ上からの三角飛びケブラーダを決める。さらにスワンダイブ式ミサイルキックで一気にたたみかけた。リング中央でエルボーを放たれても、これを無表情で耐えた飯伏はついに“覚醒モード”に突入。レフェリーの制止を振り切り、グーパンチで殴りつけた。

 ここから激しい技の攻防が続き、オカダがエプロンでのツームストーンパイルドライバーを決めれば、粘る飯伏もスワンダイブ式のジャーマン、カウンターのラリアート、カミゴェで反撃。2人の意地と意地が激突し、互いに3カウントだけは許さない。

 飯伏の空中殺法を自爆させたオカダがラリアートから、ついにレインメーカーを炸裂。ピクリとも動かない挑戦者を起こし、最後はレインメーカーで39分16秒の死闘に終止符を打った。

 この勝利により、セミで行われたIWGPインターコンチネンタル選手権でジェイ・ホワイト(27)を破り、新王者になった内藤哲也(37)と5日の東京ドーム大会メインで両王座をかけたダブルタイトルマッチで激突することが決定。試合後はベルトを持った内藤が現れ「2年前のドームでのマイク、覚えているか? 俺はまた東京ドームのメインに戻ってきたぞ。史上初の偉業、東京ドームで初めての大合唱、オカダを倒した上で実現させてやるから、カブロン」と宣戦布告した。

 するとオカダは「飯伏さん、最高に強かったよ。ありがとう」と挑戦者をたたえた上で「2年前に言ったこと、史上初の偉業、大合唱、こんなことはどうでもいいんだよコノヤロー。最強はIWGPヘビー級チャンピオンのこの俺だ」と豪語。史上初の2冠王に向け、このまま突っ走る。