今年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」が始まりました。今回の主人公は渋沢栄一ということで、渋沢の出身地である埼玉県の深谷駅が注目を集めています。でも鉄道ファンにとって深谷駅は、何年も前から話題となっていたんです! そこで今回は、鉄ヲタ目線で深谷駅をご紹介します。

 以前から鉄道ファンの注目を浴びていた理由は、深谷駅の外観です。レンガで埋め尽くされた姿は、東京駅にそっくり! 実は東京駅の丸の内駅舎のレンガは、深谷産のものが使われているんです。そのため深谷駅も、東京駅に模した造りで改装を行って、こんな見た目になりました。

 しかもそのレンガは、渋沢が携わった日本初の機械式煉瓦工場で作られたもの。渋沢は、明治から大正にかけて実業家として活躍した人物で、約500の企業を育てたことから「日本資本主義の父」とも言われています。その企業の中には、現在の都電の起源である東京馬車鉄道や、関西の大手私鉄・京阪電鉄もあり、多くの鉄道事業に関わっていました。なんだか100回分の人生を、1回で全部やっちゃった人みたいですね。

 深谷駅の周辺には、鉄道遺産もたくさん残っています。まず駅前から約4キロメートルも、整備された遊歩道が続きますが、これはかつてあったレンガ工場と駅を結ぶ貨物専用線の廃線跡になります。さらに公園「ブリッジパーク」内には、日本最古のプレートガーター橋と呼ばれる橋と線路が遺産として残されています。東京駅に使用されたレンガを作る工場は現在、資料館になっていて見学することもできます。ちなみにこの工場では当時、月に65万個ものレンガを出荷していて、東京大学や日本銀行の外観にも使用されたんですよ。

 ここで木村ポイント! 2024年から発行される新一万円札の絵柄は、表面が渋沢栄一、裏面は東京駅と発表されています。発行されたら、「東京駅から深谷駅まで、新一万円札を使ってピッタリ1万円で行く旅」をやりたいです。普通列車で最短ルートで行くと1340円なので、かなり大回りで寄り道をしながら行くことになると思います。今から楽しみです。

 それでは、東京駅にそっくりな深谷駅に会いに、出発進行~!

 ☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。