昨年大みそかの格闘技イベント「RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)は話題満載だった。〝キック界の神童〟那須川天心(23)のRIZIN卒業マッチに、〝最強兄弟の兄〟朝倉未来(29)のリベンジ、そしてサッカー元日本代表FW三浦知良(横浜FC)の次男・三浦孝太(19)の鮮烈デビュー。日本の格闘技熱が高まってきた2022年はどうなるのか。また、6月に行われる那須川 vs 武尊の行方は? RIZINの榊原信行CEO(58)を直撃した。


 ――昨年の大みそか大会を振り返って

 榊原CEO(以下榊原) いろんなものを犠牲にしながら、本気で頑張ってきた人間でなければつくり出せない空間になりました。努力は嘘をつかないんだなと選手から教えていただいた気持ち。感謝したいと思います。格闘技ならではのダイナミズムの詰まったエンディングに胸を打たれました。

 ――昨年はコロナ禍でも新たな配信モデルや新ブランド「LANDMARK」「TRIGGER」を立ち上げ勢いをつけた。今年の展望は

 榊原 積極的に攻めの姿勢は貫いていきたいです。新ブランドとナンバーシリーズの3ブランドでコントラストを出しつつ大会数を増やして、15~17大会を開催したい。

 ――TRIGGERは三浦孝太を主軸にするとのことだが

 榊原 孝太はまだナンバーシリーズでタイトルとかGPに絡むレベルではないと思うので、TRIGGERで経験を積む機会をどんどんつくっていけたらいいんじゃないかなと思っています。

 ――来年は何試合くらいを想定しているか

 榊原 (指導する)宮田(和幸)君とか孝太本人と話さないといけないけど、3試合くらいじゃない? その上で大みそかにどれだけ成長したか見せるっていう。5年くらいのスパンで成長物語を見せたい。

 ――那須川が、まさにその形でスターになった

 榊原 似てるよね。

 ――立場は違うが、次に那須川に代わり、RIZINが〝ベットする〟価値のある選手だと

 榊原 そうだね。ファーストインパクトがすごかったですから。持ってるし、華がある。試合後にあの親父が立ち上がって喜んでいたから。親父を熱狂させた器の大きさもある。肩書が「カズの息子」じゃないところまで3年、5年でいくんじゃないか。

 ――那須川は6月に対戦する武尊とリングで相対した。その試合をメインにしたメガイベントにも注目が集まる

 榊原 日本の格闘技の「祭典」なのか「夢の懸け橋」なのか分からないですけど、とんでもないことをやってやろうと思っています。

 ――アンダーカードに名乗りを上げる選手が出始めている

 榊原 MMA(総合格闘技)もキックもあるRIZIN的なものにするのか、あるいはキックだけにするっていうアイデアもあります。僕は中立なものっていうならRIZIN的なものはなくして、キックだけにするっていうのもアリだと思う。そこでRIZINのスター選手がキックに挑めたら、それもいいじゃないですか。

 ――今はキックの選手がMMAに挑むのが主流になっているが…

 榊原 今は少なくなっているけど、昔は結構あったんですよ。旧K―1のころは。それはそれで独特の熱をつくるから。例えば川尻とかね。

 ――川尻達也は2008年大みそかに武田幸三、09年7月に魔裟斗とK―1ルールで対戦した

 榊原 そういうのがあっても面白いと思います。そこはK―1さんやRISEさんとしっかり相談していきます。とにかく、どういうコンセプトでやるのか、タイトルも含めて正月休みが明けたら一気に詰めちゃおうと思っています。1月中には方向を決めます。

 ――肝心の那須川VS武尊の交渉も大丈夫そうか

 榊原 あとは本当に微調整だけだと思います。3分無制限ラウンド(R)っていうのは武尊が言ってるけど、放送とか興行とかの制約を考えると、僕も大人になったんでそこはないと思います。

 ――武尊としては完全決着をつけたいとの思いがあるようだ

 榊原 例えば(各ラウンドごとに優劣をつける)マストシステムで決着がつくようにするとか。3分3Rか5Rか分からないけど、そこにどう決着をつけるかは両陣営と結論を出したいです。