【空手】61キロ超級・植草歩 ハイブリッド空手完成だ

2020年03月04日 16時40分

植草の蹴りにさらに磨きがかかる

 明るい兆しは見えた!? 東京五輪組手女子61キロ超級代表の内定を勝ち取った“空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ”こと植草歩(27=JAL)が、苦しい戦いを強いられている。同68キロ超級で臨んだ先週のプレミアリーグ(PL)ザルツブルク大会では準々決勝敗退。金メダルに黄信号がともっている状況だが、練習拠点の一つで母校・日体大柏高の花田好浩監督は「金を取ってくれる」と意外にも力強く太鼓判を押す。その理由は――。

 2016年の世界選手権で優勝を果たして以降、世界トップ選手の一人として君臨してきたが、昨年12月のPLマドリード大会ではまさかの初戦敗退。今年に入ってから開催されたPL3大会では、一度も表彰台に立つことができなかった。PLザルツブルク大会でもベスト8どまりの植草は「優勝して(五輪代表)内定を伝えたかった。負けているのに『おめでとう』と言われ、なんとも言えない気持ち。何大会もメダルを取らないっていうのは、自分にとっては屈辱でしかない」と悔しさをにじませた。

 果たして金メダルが期待される本番は大丈夫なのか。恩師の花田監督は「五輪に向けてのいい試練だった。いい分岐点をしっかり通って、壁を乗り越えながら来れた」と言い、金メダルの期待に揺らぎはない。なぜか。植草が「一生懸命自分の幅を広げている」からだという。

 実際、昨年末からは香川・高松中央高の空手部監督を務める崎山幸一氏の指導も仰ぐようになった(本紙既報)。さらに、空手以外の競技にも目を向けている。すでに「柔道」トレを行っていることは本紙で伝えたが、五輪では68キロ級と68キロ超級が統合され、61キロ超級で戦う。植草は「1個下の階級(68キロ級)はみんな蹴り技がうまい。68キロ超級よりスピードが速い」と警戒し、対策の一つとして「テコンドー」を稽古に取り入れている。

 花田監督は「テコンドーのスピードを競う点やヒザの入れ方が全然違うので」と意図を説明。稽古を通して「大幅に蹴りのスピードが速くなったし(種類も)多彩になっている」と絶賛する。植草も「(テコンドーで)蹴り技はだいぶ学んだ。あとは男子の選手との稽古で速い蹴りに対応できるようにしていきたい」と手応えを口にする。

 他にも、倒し技や組んだ時の対処法を学ぶため「レスリング」にも取り組んでいるという。表彰台の頂点へ向けて、植草の空手は「柔道+テコンドー+レスリング」の“ハイブリッド化”が進んでいるということだ。
 運命の本番まで5か月を切った。「自分の人生をかけて五輪で優勝したい」と直前まで貪欲にレベルアップを目指す女王が、金メダル街道を一歩ずつ歩んでいく。