〝因縁の再戦〟の注目度がさらにアップだ。日本ボクシングコミッション(JBC)と東京運動記者クラブ・ボクシング分科会は29日、2021年度年間表彰の各賞を発表。「年間最高試合賞」(世界戦部門)は、昨年9月22日に開催されたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ(京都市体育館)、寺地拳四朗(30=BMB)対矢吹正道(29=緑)の一戦が選ばれた。

 この試合は、激しい打ち合いの末にKO寸前まで追い込まれた矢吹が、逆転で10ラウンドTKO勝利するドラマチックな結末を迎えた。

 難攻不落の前王者のV9を阻止した矢吹だったが、試合中に見せたバッティングが故意ではないかとの疑念が広がり、騒動に発展した。拳四朗陣営もバッティングを主張しJBCへ意見書を提出。JBCは「不合理とは認められない」と回答したものの、WBCは再戦の指示を出し、ダイレクトリマッチ(3月19日、同会場)が設定された。

 受賞に当たってコメントを発表した両選手は「この度は年間最高試合賞に選んでいただきありがとうございます。次は王座を奪還し、勝者として受賞できるよう全力を尽くします」(拳四朗)、「すごく光栄です。まだまだ社会情勢が不安定ではありますが、今後もさらなる高みを目指して精進していきたいと思います」(矢吹)とそれぞれ期する思いを告白。因縁の再戦にまた一つ、注目要素が加わった。