【ボクシング】井上尚弥でも倒せなかった元世界王者・田口良一が引退「戦ってよかった」

2019年11月20日 17時56分

3本のベルトを手に笑顔の田口

 ボクシングの元WBA&IBF世界ライトフライ級王者、田口良一(32=ワタナベ)が20日、都内で会見し、現役引退を発表した。

「引退の理由は、前みたいにモチベーションを上げることができないこと。皆さんのおかげで、このようなボクシング人生を送ることができて、やり切った。今はすがすがしい気持ちです」と話した。

 田東京都大田区出身の田口は高校在学中に、元WBA世界Sフェザー&ライト級王者の畑山隆則氏(44)や元WBA世界ミニマム級王者の新井田豊氏(41)に憧れたことで、2人の所属ジムでもあった横浜光ジムに入門したが「在籍は1年ぐらいしていたけど、実際に行ったのは1~2か月ぐらい」(田口)だった。

 卒業後にワタナベジムで本格的にボクシングを始め、2006年7月にプロデビュー。翌07年には全日本新人王。13年には日本Lフライ級王者となった。

 同王座はV1戦で井上尚弥(26=大橋)に判定負けを喫し奪われたものの、14年大みそかにはWBA世界ライトフライ級のタイトルを獲得。近年では珍しい、アマチュア経験がない世界王者となり、同王座を7度防衛した。

 17年大みそかにはIBF王者のミラン・メリンド(31=フィリピン)に判定勝ちして統一王者に。

 18年5月のヘッキー・ブドラー(31=南アフリカ)戦は、日本人では初めてとなる「統一王者としての防衛戦」だったが、判定負け。

 今年3月16日にはWBO世界フライ級王者の田中恒成(24=畑中)に挑んで判定負け。試合後は進退を保留していたが「世界戦で連敗して、ここから再スタート、となった時にモチベーションが上がらなかった」のが引退を決断する理由になったという。

 3年半にわたって世界王者に君臨した田口の「名勝負」として挙げられるのは、やはり日本タイトルでの井上尚弥戦。3階級制覇を達成し、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)も制した井上は多くの対戦者をリングに沈めてきたが、田口は倒すことができなかった。

 陣営が回避を提案したのを田口本人が対戦を希望して実現した試合を「あれがあったから世界王者になれた。以降(の相手は)井上選手より強いことはないだろう、と思ってリラックスしてやることができた。逃げずに戦ってよかった」と振り返った。

 今後は自身のジム開設を目標に定めて、現在はトレーナーとして修業中だという。

 会見場に登場した際は、カメラマンが待ち構える中央の通路ではなく、壁沿いを歩いて壇上に上がった。

 ボクサー生活にピリオドを打つ場でも、控えめな性格が現れていた。