米アカデミー俳優ケヴィン・スペイシー(63)がスタッフへの性的嫌がらせをしたとして、主演していた米動画配信大手ネットフリックスの人気ドラマから降板したことで損害を受けたとして、制作会社がスペイシーを訴えていた裁判で、米ロサンゼルスの裁判所は4日、被告に賠償金3100万ドル(約41億2500万円)の支払いを命じた。

 米芸能サイト「デッドライン」によると、スペイシーは2013年からドラマシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」に、やがて米大統領となる主人公フランク・アンダーウッドを演じ、同時に製作総指揮も務めていた。だが、シーズン5が放送された17年の後、スタッフに対する強制わいせつが発覚し、ドラマを降板。翌シーズンで同ドラマは終了した。

 同サイトによると、制作会社メディア・ライツ・キャピタル(MRC)はスペイシーを契約不履行でロスの裁判所に訴えた。裁判所は仲裁人を立て、審理した結果、20年に原告の主張を認め、スペイシーに損害賠償2900万ドル(約38億6000万円)の支払いを命じた。その決定を不服としてスペイシー側はロス高裁に控訴していた。

 スペイシーは近年、性犯罪容疑で刑事告訴され、被害者らから民事訴訟を起こされるなど、俳優生命の危機に直面している。

 最近では今年5月、英検察当局はスペイシーを男性3人に対する4件の性的暴行容疑などで起訴。それによると、男性のうち1人は現在40代で、05年3月にロンドンで2回にわたり性的暴行を受けた。残りの2人はいずれも現在30代で、それぞれ08年8月と13年4月に性的被害を受けたとされる。

 これにより、スペイシーは出演が予定されていた映画「1242:ゲートウェイ・トゥ・ザ・ウェスト」(仮題)でモンゴル帝国の初代皇帝チンギス・ハンを演じることになっていたが、降板した。

 スペイシーは合意の上での行為だったとしてこれらの容疑を否認し、無罪を主張。裁判は来年ロンドンで開かれる予定だ。