韓国の超人気グループ「BTS」が14日に公式ユーチューブチャンネルでソロ活動専念を表明した。所属事務所はグループ活動の休止を否定している。なぜこのような事態になったのか? BTSのメンバーには兵役が間近に迫っており、避けられないところまできている。

 ユーチューブの動画で、リーダーのRMはグループ活動の多忙ぶりを明かし、「自分が成長する時間がない。僕たちのチームが何なのか、どうすべきか分からなくなった。活動の方向性を見失った」などと明かした。

 続けて「BTSを長く続けるためには、自分1人に戻る時間が必要」と断言。Vも「グループ活動ばかりだったから、ソロで活動して再び集まれば、シナジー効果が出ると思う」と前向きに語った。

 これを受けて「活動休止」と一斉に報じられたのだが、所属する韓国の大手芸能事務所「HYBE」のレーベル「Big Hitミュージック」関係者は、韓国メディアに否定したうえで「今後、ソロ活動をする予定だが、グループ活動も継続する」とした。

 14日の動画では、さっそくソロ活動のトップバッターをJ―HOPEが務めると明かされたが、気になるのは最年長・JINの発言だ。「私は最後にソロ活動をすることになりそうだ」と明かし、他のメンバーに「先に道を作ってほしい」と訴えた。

 これはどういう意味なのか? 韓国では18~28歳の健康な男性は全員、約20か月間の兵役につく義務がある。BTSではJINを筆頭に複数のメンバーが28歳を超えているが、それでも活動できているのは2020年にいわゆる〝BTS法〟が成立し、特別に期限が2年延長されたから。現在29歳で12月に30歳を迎えるJINは、兵役が迫っている。今後「BTSは兵役免除」など、さらに兵役法が改正されない限り、来年初めには入隊しなければならない。

「事務所も兵役免除を願ってはいたが、現実問題としてJINが30歳を迎えるまでに兵役法が改正される見通しは立っていない。29歳のSUGAも来年3月に30歳で、BTSとしては〝次のステージ〟を考えざるをえない時期。ラストコンサートのような場も作らないといけない。韓国で大々的に『兵役のせいで活動休止になる』とは言えない。グループ活動の苦悩を明かしたことで活動休止と誤解されましたが、あくまで兵役を見据えたうえでの、個人活動へのシフト宣言なんです」(韓国の芸能界に詳しい関係者)

 韓国内では現在、BTSが兵役免除されるかどうかをめぐって、国論が二分されている状態だ。

「BTSのファンは、メンバーの兵役免除や同時入隊が可能になるように、署名を集め、嘆願書を韓国政府に提出する活動を行ってきた」(芸能関係者)。今年5月には韓国の現役閣僚が兵役免除に賛意を示した。

 ただ一方で〝平等〟を求める声も韓国内では根強い。そのためBTSは、「兵役の壁」を活動休止の背景として全面的に押し出すことはできなかったのだ。

 もし仮にBTSメンバーが兵役免除となればファンは大喜びだろうが、メンバーたちにとってはそれがプラスなのかは分からない。あるジャンルでの活躍が認められ、韓国での兵役を免除になった男性は「優秀な成績で軍への入隊が免除となったら、代わりにその分野を一生続けなければならない。その後の選択の自由はなくなると言っても過言ではない。BTSで言えばグループ活動で国威を発揚し続ければならない。免除後に活動休止、解散なんてことになれば韓国世論が許さない」と指摘。〝かごの中の鳥〟状態になるというのだ。

 世界中で人気のBTSといえども、兵役の壁は高かった。