ピン芸人日本一決定戦「R―1グランプリ2022」の決勝戦が6日、行われ、お見送り芸人しんいち(36)が優勝した。お笑い界の、いわゆる“3大賞レース”と言われる大会で優勝するのは、しんいちが所属するグレープカンパニーでは2007年のサンドウィッチマン以来のこと。これは同事務所にあった“2番の呪い”を乗り越えての快挙だったという。

 8人が出場したファーストステージでは、464点を出したZAZYがトップ通過。2位にしんいち、吉住、金の国・渡部おにぎりが463点で並ぶ大混戦となったが、5人の審査員による決選投票の末、3票を集めたしんいちが最終決戦に進んだ。

 さらに最終決戦では、5人の審査員のうち3人が投票したしんいちが見事優勝し、賞金500万円と、全国ネットでの優勝特番という副賞をゲットした。

 歌ネタで優勝したしんいちが所属するグレープカンパニーは、サンドウィッチマンがトップに君臨する芸能プロ。しんいちはサンドウィッチマンに「大変お世話になっている」という。

 優勝直後の会見では「お見送り芸人しんいちという芸名を付けたのが伊達みきおさんで、ギターと歌をやれと言ってくれたのが富澤たけしさん。あの方たちがいなかったら今の自分はないと心の底から思ってます」と、あらためて感謝の念を口にした。

 そのサンドウィッチマンが「M―1グランプリ」で優勝したのは07年のこと(当時の事務所名はフラットファイヴ)。お笑い界ではR―1、M―1、キングオブコントが「3大賞レース」と言われるが、その大会で優勝するのは、グレープカンパニーではサンドウィッチマン以来の快挙となる。

 ただ同事務所には、賞レースにおいて「2番の呪い」というものがあった。サンドウィッチマン以降、M―1ではカミナリ、東京ホテイソン、ランジャタイが決勝に進出したが、初出場の時の出番はいずれも2番だったのだ。

 そのうち20年の東京ホテイソン、21年のランジャタイは最下位に終わった。また16年のカミナリは最下位ではなかったものの、審査員に名を連ねた上沼恵美子に81点と低い得点を付けられるという、厳しい結果に終わっている。

 今回のR―1も、事前に行われた抽選の結果、しんいちの出番はくしくも2番になった。これについてしんいちは大会前、「これがグレープカンパニーの“2番の呪い”って言われてまして、カミナリ、ホテイソン、ランジャタイさんが初の決勝の時に2番。僕もR―1初決勝が2番なんですよね」と話していた。

 だが本人は、これを決してマイナスには捉えていなかった。

「確かにグレープカンパニーに“2番の呪い”はあって、3組とも優勝は逃したけど、みんなその後、消えることなく活躍し続けてますよね? そういう意味では呪いではなく“ハッピーな2番”だと思ってます」

 その言葉通り、“2番の呪い”をモノともせず、見事に優勝したしんいち。今後はこの3組に負けることなく、“R―1王者”としてますますブレークしてほしいところだ。