東京映画記者会(東京スポーツ新聞社など在京7紙の映画担当記者で構成)が選ぶ「第64回ブルーリボン賞」の各賞が決定。監督賞は、「すばらしき世界」の西川美和監督(47)が受賞した。

 ブルーリボン賞の監督賞は第49回の「ゆれる」、第52回の「ディア・ドクター」に続き、3度目の受賞となる。受賞者には副賞として万年筆が贈られるが、「またもらえるんだ、と思いました」。合同インタビューの場には、過去2回受賞した時の万年筆を持参し、「これで、どれだけの俳優に手紙を書いたことか」。かなり使い込んだため、第49回の万年筆は刻印された文字が消えかかっていた。

 対象作品に出演した仲野太賀は助演男優賞を受賞。西川監督は、監督賞受賞の報告を仲野から受けたという。

「私より先に太賀くんに連絡が来たみたいで。映画の賞はいつもなら製作会社からスタッフに連絡が来ることが多いのに、今回は太賀くんから『監督賞、おめでとうございます!』って。ガセネタだったらどうしようと思ったんですけど(笑い)。でも太賀くんが助演男優賞を取れたことがうれしかったですね」

 ブルーリボン賞だけでなく多くの映画賞を受賞している西川監督だが、自身で原作、脚本も執筆することが多いため、1本撮るのに4~5年かかることはザラ。これだけの有名監督になりながら、決して裕福なわけではない。

「映画では食べてないです。ほかの映像を作ったり、いろいろアルバイトしながらやってます。好きなことを仕事にして映画を作ってきたので、自分ではそれでよかったとは思ってるんですけど、後に続く世代が『日本で映画を作ることも悪いことじゃない』って思えるように、私たち世代以上が考えていかないと時期に来ているとは思います」と、日本映画界が抱える問題点を語った。