新型コロナウイルス感染拡大下での東京五輪開催に反対の声が高まるなか、巨額で手に入れた五輪放映権を持つ米NBCの準備万端ぶりが、際立って見えるようだ。

 米エンタメ業界メディア「バラエティー」は、米NBCユニバーサルが、NBCやCNBCなど傘下メディアを通じ、合計7000時間にわたり東京五輪を中継する計画を紹介した。「東京五輪開催への懸念が表面化するなか、少なくとも1人の参加者(NBCユニバーサル)は全力で参加する準備ができている」と、わき目もふらず中継へまい進する様子を皮肉っぽく表現。「コロナ感染拡大下にある日本開催という課題にもかかわらず、スポーツの祭典を継続することに強い経済的関心があることを示している」と記した。

 同記事によれば、NBC五輪プロダクションのモリー・ソロモン社長は「歴史上、最も包括的でアクセスしやすい報道を提供する予定。私たちの放送の内容の深さと幅は、前例のないものになる」とアピール。一方で、記事では「NBCユニバーサルは、観客がいること期待しているのか、または健康や安全要件に対応するため、一部を変更する必要があるのかどうかについては言及していない」と、肝心な問題には目をつぶる様子も記述している。

 また、同メディアは「五輪はNBCユニバーサルとその親会社であるコムキャストの経済基盤の重要な部分」と言及。国際オリンピック委員会(IOC)に対し、20年までの放映権料44億ドル(約4800億円)を支払い、さらに21年から32年までの放映権に77億5000万ドル(約8700億円)を支払うことに合意。「16年リオ五輪では、約2億5000万ドル(約274億円)の利益を挙げた」としている。

 納得のいく感染防止対策も出せず、問題山積の東京五輪。大金だけが動いていると言えそうだ。