お笑いコンビ「おぎやはぎ」に殺害予告して逮捕されたシステムエンジニアの相馬亘容疑者(25)が23日、「ダウンタウン」松本人志(57)にも同様の殺害予告をしたとして、警視庁新宿署に脅迫と威力業務妨害の疑いで再逮捕された。松本は7日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)で被害を訴えており、「同一犯だったら、ガッツリやらないといけない」と“厳罰”を宣告。これに芸能界からは、過去に松本が提案した“あの組織”の設立を望む声が上がっている。

 相馬容疑者の再逮捕容疑は、先月30日にネット掲示板に松本と家族に対し「トンカチで顔面グシャグシャにしてぶっ殺します」と投稿した上、同月24~31日に、吉本興業の養成所「NSC東京」に爆発物を仕掛けたと同養成所のツイッターのメッセージに書き込み、業務を妨害した疑い。「騒ぎを起こせば、自分を無視できなくなると思った」と話しているという。

 相馬容疑者は1月14日にもネット掲示板に、おぎやはぎの小木博明と矢作兼を名指しして同じ書き込みをし、3日に脅迫容疑などで逮捕されている。捜査関係者は「おぎやはぎや松本さんのほかにも殺害予告をし、テレビ局には爆破予告。余罪は100件以上ある」と話している。

 松本が所属する吉本興業は23日、今回の事件について「捜査中なので今は話せない」としたが、「所属芸人に対する殺害予告のような脅迫は本当に多く、その都度、警察のサイバー犯罪班の方と連携して対処している」と、今回の事件に限らず日々、対応に追われている現状を明かした。

 今回のような脅迫は多くの芸能事務所が頭を抱えている問題だ。ある大手芸能プロ関係者も「うちにもこうした脅迫は無数に送られてくる。多くは愉快犯だが、本気で犯行に移す人がいる可能性もある。今はSNSのダイレクトメッセージもあるので、タレント本人が危ないと判断した内容は報告させているが、すべてに対処するのは簡単ではない」と話す。

 何とかこうした犯罪を抑止する方法はないのか?

 小木は4日深夜放送のTBSラジオ「おぎやはぎのメガネびいき」で、「抑止力にもするためには、こいつ(相馬容疑者)には一番重い罪を求めようと思って。これで軽くすぐ(刑務所から)出てくるようだと、追随するヤツも出てくるし。こういうことで無期懲役とかなったら、もうやるヤツいなくなるでしょ、さすがに。俺はそこまで追い込んでいこうかと思って」と発言し、話題になった。

 一方、おぎやはぎの事件を受けて、松本も7日放送の「ワイドナショー」で同様の被害を明かし、真顔で「同一犯だったら、ガッツリやらないといけない」と“厳罰”を予告した。

 もちろん、相馬容疑者は法によって裁かれることになるが、松本と小木が抑止のため厳罰を望むように、芸能界全体が思いを同じくしているのは事実。そこで今回の事件を機に、松本には“あの組織”の設立を期待する声が上がっている。

「松本が以前に提案した『日本タレント組合』を本気で設立すれば、大きな抑止力になる。業界全体として結束して許さないという姿勢を見せるためにも、個々で対応するより大きな組織があった方がいい。芸能界全体を巻き込んだ大きな話になるが、松本が動けばみんな納得する」(芸能関係者)

「日本タレント組合」とは2017年2月放送の「ワイドナショー」で、タレントと所属事務所のギャラ交渉やトラブル解決を目的に松本が提案した組織だ。その後、後輩のたむらけんじが、組合創設の先導役に指名されたと明かしたが、表立った動きはない。当初の目的とは違うかもしれないが、タレントを守るという点では同じ。今こそ設立の時が来たと言える。

 松本は19年に所属する吉本興業が闇営業問題でゴタゴタの時に「松本 動きます」とツイートして問題解決に動き、昨年、新型コロナウイルスで収入が激減した後輩たちに1人100万円を上限に無利子無担保の融資を行ったように、周囲の困難な状況を見過ごせずに行動する人物なのは証明済みだ。

 今回は自らも脅迫被害を受けたことで、強い思いがあるはず。芸能界全体からの松本に寄せられる期待は大きい。