SKE新オーナーを直撃 30億円買収は高いか安いか

2019年03月07日 16時29分

「Jトラスト」の藤澤社長

【SKE新オーナー独占直撃(1)】アイドルグループ「SKE48」の運営事業が1日に芸能プロダクション「AKS」からJASDAQ上場企業「KeyHolder(キーホルダー)」の子会社「株式会社SKE」に譲渡された。30億円というアイドル史上最大のM&Aを主導したのがKeyHolderの親会社で東証2部上場企業「Jトラスト」の藤澤信義社長(49)だ。本紙はSKEの新オーナーとなった藤澤社長を直撃。4回にわたって独占インタビューをお届けする。藤澤社長がアイドル事業に参入した理由とは――。

 ――SKEの運営事業を行うことになったきっかけは

 藤澤社長:KeyHolderという会社は、もともとゲームセンター事業をやっていたんです。ただコンテンツを生み出す方に回らないと事業として勝っていけないという思いがずっとありました。そうした中で(テレビ番組「笑っていいとも!」の収録を行っていた)新宿アルタのスタジオ(現在のKeyStudio)をうちが展開していくことになった。箱があるならIP(特許権、商標権、著作権といった知的財産権のこと)を生み出していかなければいけない。アルタの事業を行っていく中で(48グループ総合プロデューサーの)秋元康さんやAKSの幹部の方々と接点ができたんです。

 ――秋元氏と初めて会ったのは

 藤澤社長:去年の2月か3月ころですかね。まだ1年たったかどうか。

 ――具体的にSKEを運営しようという話になったのは

 藤澤社長:本格的に話が出たのは昨年の10月くらい。ただ秋元さんが先導という形ではないんです。うちとAKSサイドの間でそういう話になって、いろいろ検討した結果、SKEをまず運営させてもらおうという話になりました。秋元さんには事後承認というか、後から了承をもらったという形ですね。

 ――SKEを選んだ理由は

 藤澤社長:SKEは地域活性化にすごく貢献しているグループです。私も岐阜出身ですし、地元の活性化にさらに役立っていけるのではないか。SKEを運営することで東海3県の皆さんへも恩返しができる。いろいろな意味で受け入れやすいということでSKEになりました。

 ――SKEを知っていましたか

 藤澤社長:ずっとシンガポールに住んでいて、日本のアイドル事情や芸能関係については全く知らなかったです。うちの奥さん(元宝塚の音花ゆり)の妹(女優の相武紗季)が出ているテレビ番組もわからないくらい。去年の10月くらいから少しずつメンバーの名前を覚えようとしてます(笑い)。2月に行われた松村香織さんの卒業コンサートを見に行ったので、そこから松村さんのツイッターをチェックしたりとか。そんなレベルです。

 ――松村さんの卒業コンサートを見てどう思いましたか

 藤澤社長:アイドルのコンサートというイメージで行ったのですが、松村さんの半生をつづるコーナーなどもあって面白かったですね(注=SKE加入前に松村がキャバクラやメイド喫茶で働いていたエピソードを寸劇で披露した)。松村さんについては歌がうまいというよりキャラクターで売っているというか(笑い)。

 ――SKEの魅力はどういう部分だと思いますか

 藤澤社長:アイドルのイメージとエンターテイナーの部分が両方ミックスされている気がしてます。これが新しいアイドルの形になるのかなと。松井珠理奈さんは踊りもうまいという印象です。須田亜香里さんも体が柔らかいし、すごく努力しているという感じを受けました。昨年12月に9期生のオーディションを見に行きましたが、そのときに松井さんに会いました。

 ――名古屋のSKE劇場にも行かれた

 藤澤社長:11月に行われた町音葉さんの卒業公演に行きました。公演を見て「なんじゃこれは!」と。想像していたものと全然違うものでした。ペンライトでの応援だったり、お客さんがすごく素直にメンバーの呼びかけに反応したり。どこからこのパワーは出るのだろうと思いましたね。

 ――SKE事業の承継にあたって30億円の投資となりましたが、事業価値としてはどうですか

 藤澤社長:いろいろな評価の仕方はありますが、例えば一つのIPというか核となるものをゼロから1に生み出すための時間短縮を思えば安いと思います。ただ今のSKE単独の収益で、その価値を見るとなると、ちょっと高いかもしれない。いろいろな評価があると思います。SKEをグループにしたことで30億円以上株価が上がれば“安かったね”ということになる。あのとき“買っといてよかったね”とするのが、われわれ経営者の仕事だと思います。

 ――M&Aでは買収した会社を育ててまたどこかに売るというケースもある。SKEがそうなる可能性は

 藤澤社長:いや、それはないんじゃないですか、SKEの場合、ベースとなる事業体がちゃんとあるので。ぼくらの目的はビジネスの上流に立ち、IPをもって、もっと大きくアイドル事業を展開していくことです。KeyHolderのメイン事業にしようと思っているので。メイン事業をなくすということは、よほどのことがないとあり得ない選択ですから。

(続く)

☆藤澤信義(ふじさわ・のぶよし)=1970年1月17日生まれ。岐阜県出身。東京大学医学部卒業。東証2部「Jトラスト」代表取締役社長。3月1日にJトラストの子会社「KeyHolder」がSKEを傘下に収め、実質的なオーナーとなった。

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