堺雅人(46)が主演するTBS系「半沢直樹」が27日放送でいよいよ最終回を迎える。

 同ドラマのキャストはとにかく濃い面々ばかり。なかでも〝ラスボス〟と称される箕部幹事長を演じる柄本明(71)の芝居は「怪演」と呼ぶにふさわしい。

 20日の第9話では、過去の不正について「全て公表、謝罪をすべき」と主張する半沢に対し、箕部は「筋はそうかもしれない。でも理想と現実は違うよ。これ(証拠)が出たら君たち、銀行はどうなると思う」と静かに脅す。半沢に土下座を要求する場面では「ささささ、ほら、やりなさい」と穏やかな口調で促すも、最後はしびれを切らして「この小童ぁ! はよやれえ!」と、鬼の形相で怒鳴りつけた。

 緩急織り交ぜた演技はベテラン俳優の成せるワザ。だが、最初に箕部役をオファーした相手は違ったという。関係者の証言。

「今回の『半沢直樹』で新キャストとして起用される人は、これまでの池井戸作品に出たことがない人が条件だった。制作サイドが最初にオファーしたのは、小日向文世さんだったと聞いている」

 小日向文世(66)も池井戸作品は初めて。俳優としての実力も折り紙つきだ。

 だが、コロナ禍で撮影スケジュールに狂いが生じたことに加え「裏番組のカブリもあった」(同)ことから、泣く泣く断念したという。

 この手のキャスティング変更は放送業界ではよくあること。そして思わぬ好結果を生むことも多い。

 2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」では、真田昌幸を演じた草刈正雄(68)が大ブレークしたが、実はこれも「最初は役所広司さんにオファーしていたそうだ。しかし役所さんが〝主演クラスしかやらない〟人のため、草刈さんにお鉢が回ってきた」(ドラマ関係者)という。
 
 棚ボタとも言えるが、結果オーライ。草刈だったからこそ絵になった部分はある。

 柄本の〝怪演〟もネット上では「怖い」「クズっぷりが最高」「見ていてイラつく」など大反響。小日向の箕部役も見てみたかった気もするが、柄本で正解だったようだ。