広島が〝ドミニカルート問題〟に気を揉んでいる。今年もフランスアが守護神を務めるなど、ドミニカ共和国にあるカープアカデミー出身選手は貴重な戦力供給元。例年なら、来年来日させる新規選手の選定に入るころだが、今年は新型コロナ禍によって事情が違うようで、チーム関係者は「今の状況のままなら入国することができないかもしれない。規制緩和されるのは、いつになるのか…」と嘆息する。

 現在もドミニカ共和国は政府が指定する入国拒否地域の対象国のまま。すでに韓国、中国とはビジネス目的の往来が可能で、米国との往来も近々〝解禁〟になる見通し。そのためメジャー球団所属の選手が来年、日本の球団に入団することに差し障りはない。しかし、広島にとっては重要地域であるドミニカ共和国からの制限が緩和される見通しは立っておらず〝凍結危機〟に陥っているのだ。

 すでに〝実害〟は出ている。ブルペン捕手兼通訳のクレート氏はシーズン途中に帰国し、代わってフェリシアーノ通訳が来日する予定だった。しかし、入国制限のためかなわず、クレート氏は単身赴任が続いている。このままの状況が続けば、ジャパニーズドリームを目指すアカデミーの選手たちのモチベーション低下にもつながりかねず、頭の痛いところ。新型コロナが終息に向かい、自由に行き来できる状況になればいいが…。