中日・大野雄大投手(31)が5―0で勝利を収めた1日の広島戦(ナゴヤドーム)で2安打シャットアウト。球団史上4人目となる5試合連続完投勝利を2試合連続完封で飾った。エースの快投を上位浮上のきっかけにしたい中日だが、一方で阪神・藤川球児投手(40)の今季限りの引退に衝撃を受けている。縦じまの背番号「22」が空き番となるからだ。

 圧巻の投球だった。カープ打線を相手に二塁すら踏ませない快投劇。石川克彦(1955年)、権藤博(61年)、佐藤充(2006年)に並ぶ球団史上4人目となる5試合連続完投勝利にも大野雄は「意識してないといえばウソになりますし、自分自身も5回できたというのはうれしいですけど、チームが勝つのが一番。そこにこだわりはないです」とあくまでチームの勝利最優先を強調した。

 球団史に残る偉業を達成した大野雄だが、これで今オフのFA市場最大の目玉となるのは確実。昨年、複数年契約を提示されながら大野雄はあえて単年契約を選んでいるだけに中日サイドはエース流出の可能性に早くも戦々恐々としている。

 しかもここにきてショックだったのが阪神・藤川の突然の引退発表だ。平成を代表する剛速球右腕がユニホームを脱ぐことは球界に大きな衝撃を与えたが、中日の球団事情に詳しい関係者の間からは「これで来季、阪神の背番号22が空いてしまう」と不安の声が上がっている。大野雄の背番号も同じ「22」だけに「ただでさえ資金力が違うのに、阪神が背番22を用意していると誠意を見せたら、大野の気持ちも揺れるかもしれない」とビビりまくっているのだ。

「条件面でのマネー勝負となると、ガルシアに続いて阪神が狙ってくる可能性が高い。なんといっても大野は、リーグでも屈指の阪神キラーだからね」と中日サイドが18年オフのガルシア移籍に続いて阪神の〝大野雄獲り〟におびえているのは本紙既報通り。阪神が獲得に動いた場合、マネーゲームでの劣勢が予想される中日としては大野雄の〝ドラゴンズ愛〟にかけるしかないが、愛着のある背番号「22」をタイガースが用意してくれば大野雄のハートにダイレクトに響くこともありえる。

「僕は藤川さんの真っすぐを目標に大学時代からやっていました。阪神と対戦するときに藤川さんがいるときは〝わっ、藤川選手や〟と思って最初のころはあいさつとかもできなかった。(入団時に背番号22を選んだのは)何個か提示された中で他にもいい番号はあったんですけど〝藤川さんと一緒や〟と思いながら選んだのも理由の一つです」と藤川への憧れを口にしている大野雄だけに中日サイドの不安は高まるばかりだ。