人気のNHKオフィス・サスペンスドラマ「会社員」3日の第4回、社内パワハラを追及する派遣社員るり(南沙良)の前に新たなヤミが広がった。

 パワハラ問題は被害者の寺田(加藤清志郎)が職場復帰し、訴えを取り下げたことから状況が一変。るりはこれまで、もみ消しに動いた上司でドラマ主人公の宮木(吉田羊)をもっぱら責めてきたが、この回では宮木に救われる場面もあり、共闘関係への変化をより強くうかがわせた。

 復帰した寺田の意欲満々な様子が、逆に不自然さを浮かび上がらせる。不審に思ったるりは、休職中に通った「デトックス・ツアー」に潜入。ドラマ冒頭には寺田の参加当時の様子が回想され、ツアー担当者から「費用は御社から頂いております」と言われる場面があった。

 寺田のツアー参加には会社が関与していた。単なるデジタルデトックスでないことは、るりと一緒になった女性が自社の研修で参加したと明かしたことが物語る。温泉と美食に喜んで見せたるりに対し、女性は「あんたそれヤバいよ。会社の思うツボ」と警告。送り込む会社側には人間改造の狙いがあった。前述「費用は御社」は衝撃のセリフと言える。

 るりはツアー中、部屋に忍び込んで寺田への所見を記した書類を見つける。復帰時に「自分の感情は切り離してチームのために働く」と話していたが、書類には評価として「感情を切り離し、自己回復を優先する発言あり」「被害体験への固執は軽減傾向」とあり、会社側の〝思うツボ〟であることが分かった。

 宮木は自分の後ろ盾的な常務の安西(尾美としのり)の部屋で寺田と再会し、驚いており、ツアー派遣に関与していないとみられる。誰が人間改造を目論んだのか。「会社」という巨大組織のヤミがるりの前に広がり、敵は得体の知れなさを増してきた。

 とはいえ、郵便物配布を行うるりはスーパー派遣社員でもある。役員候補の宮木を手玉に取って動揺を誘い、パワハラ加害者のスマホを巧みにすり替えてデータを盗み、セクハラも割り出した。手際のよさには「別班か?」とのネット反応も。

 るりは書類を盗み見ていた時、部屋に帰ってきたスタッフの小田原(岩瀬亮)に疑われて二者面談を受け、「隠してることは」と問われた。小田原が吐かせようとしたのは、るりの本当の狙いや寺田に関することだが、口を割らない。死んだ友人を守れなかった痛切の念を訴えるにとどめた。がっかりした表情の小田原を追及を諦める。

 この件は実際、るりにとってトラウマになっている。顔を伏せて泣いたのはリアルな感情の発露ではあるが、相手のツッコミをかわすためにあえてこの話題を持ち出した計算も見え隠れする。その意味で、るりは演技力も発揮した。