【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。今年の夏の甲子園を盛り上げた横浜高校の織田翔希投手が日本のプロ野球を経ずに米メジャーリーグに挑戦することを表明して注目を集めています。異例の挑戦ですが、個人的には一人の若者が米国で夢をかなえる姿をぜひ見たい。今後の展開に注目ですね。

 さて、そんなニュースに関連し、今週は16歳の時に公開したユーチューブ動画からアメリカンドリームをつかんだ若手監督の話題作「バックルームズ」を紹介します。

 同作は、米国で話題となった都市伝説「バックルームズ」をモチーフに、ある日突然現実世界の裏側へと迷い込んでしまった男の恐怖を描くスリラー映画です。監督は21歳のユーチューバー、ケイン・パーソンズ。16歳の時に先の都市伝説を基に制作した動画シリーズ「バックルームズ」がユーチューブ上で話題になり、映画会社がついて全世界で公開することになったというユニークな経緯があります。

 今作のポイントは“誰かがいる・何かがある恐怖”ではなく、“誰もいない・何もない不安の恐怖”を求めた点です。例えば廊下があるとして、普通のホラーはそこに殺人鬼がいてそれが怖い。でもこの映画は廊下には誰もいないんだけど、なぜかそこから抜け出せず何も起きない。「何もない」が続く状態は怖いよねという視点を持ってきてるんですよね。それがとても新鮮でした。

 そしてさらにうまいのが、その誰もいない空間がまったくの未知の世界ではなくて、主人公にとってなじみのある場所なんですよ。これは僕の考察なんですが、あえてなじみのある場所にすることで居場所を失う怖さも表現しているんじゃないかと思うんです。家もあって電気もついているのに自分を迎えてくれる人はいない。一見世界は動いているのに、自分だけ世界とつながっていないように感じる。なかなか言葉では表しにくい、感覚的な恐ろしさだと思いました。

 現代のSNS世界ではみんながつながって言いたい放題ですが、本当のところは誰ともつながっておらず、みんな孤独なんだよ、と。そんな現代社会へのアンチテーゼ的なメッセージも込められているのかなとも思いました。不気味な怖さを秘めた注目作です。ぜひ劇場でご覧ください。