復帰したユニコーンを待っていたのは快音ではなく、まさかの〝実況事故〟だった。ドジャースの大谷翔平投手(32)が15日間の負傷者リスト(IL)から復帰した23日(日本時間24日)のパドレス戦(ドジャースタジアム)で、地元中継の実況が思わぬ形で炎上した。米メディア「カレッジ・スポーツ・ネットワーク」は一夜明けた24日(同25日)、ドジャースの実況アナウンサー、ジョー・デービス氏(38)のコールにファンから「史上最も恥ずかしい実況」と痛烈な声が上がったと報じた。

 問題視されたのは、ドジャースが1―4と追う7回無死の大谷の打席だ。速球を捉えた打球は中堅深くへ高々と舞い上がった。打球速度は103・4マイル(約166キロ)で確かに直近5週間で最速の打球だったものの、結局は中堅フェンス手前のウォーニングトラック付近で捕球される中飛に終わった。

 ところがデービス氏は打球が上がった瞬間から「センターへの雄大なフライ。届いたか!?」と声を張り上げたが、その直後にトーンを落としながら「いや、わずかに足りない…」と軌道修正。さらに高々と上がった打球をゴルフボールになぞらえるなど、まるで本塁打になることを確信したかのような熱量で実況した。

 これがSNS上で格好の標的となった。「待って、これAIじゃないの? 史上最も恥ずかしい実況だ」との書き込みが飛び出し、さすがに地元びいきが過ぎるとの批判も噴出。同メディアも、デービス氏が当初は通常の中飛と〝見事な本塁打〟を区別できていなかったように映ったと紹介した。

 もっとも、デービス氏は駆け出しの実況担当ではない。2016年からドジャース中継に加わり、17年には球界を代表する名実況として知られたビン・スカリー氏の後継としてフルタイムのテレビ実況を担当。現在はFOXスポーツのMLB全米中継でもメイン実況を務めており、米球界屈指の〝声〟だ。それだけに今回の早合点まがいの「ホームランコール」は余計に目立った。

 この日の大谷は復帰戦で4打数1安打、1四球、2三振。チームは1―5で敗れ、ワイルドカードシリーズ免除の確定も持ち越した。久々に戻ったスーパースターの一発を誰より待ち望んでいたのは、スタンドだけではなかったのかもしれない。名物実況の勇み足は、思わぬ形で復帰戦の〝もう一つの見せ場〟となってしまった。