結果で証明する――。2020年のJ1昇格に貢献したアビスパ福岡の新キャプテン・上島拓巳(29)が、クラブ初の秋春制シーズンに臨む。昨季は思うようなパフォーマンスを発揮できず苦しんだが、優勝とタイトル獲得への覚悟は揺るがない。ピッチでは闘志あふれるプレーを見せ、ピッチを離れれば家族を何より大切にする。その素顔とキャプテンとしての思いに迫った。

 ――千葉県佐倉市で過ごした少年時代やプロを目指した頃を振り返ると

 上島 双子の弟がいて、小さい頃から勉強でもスポーツでも常に競争してきた。僕も最初は弟と一緒にテニスをしていたが、小学1年の終わりに「サッカーをやりたい」と親にお願いし、小学2年から始めた。柏レイソルのアカデミーではトップチームが身近で、毎試合スタジアムへ足を運び、自然とプロを目指した。恵まれた環境だったと思う。

 ――憧れの選手や今も影響を受けている存在は

 上島 最初に憧れたのはレイソルの古賀正紘さん。ヘディングが強く、背番号5を背負っていたので、自分も5番が好きになった。その後、レイソルがJ1初優勝(2011年)を果たした頃は、北嶋秀朗さん、増嶋竜也さんにも憧れた。中学生の頃からずっと好きなのはセルヒオ・ラモス。ヘディングやリーダーシップ、闘争心、相手FWから「嫌なディフェンダー」と思われる威圧感にも引かれている。そういうプレーを今も目指している。

 ――試合前のルーティンやプロとして大切にしていること

 上島 試合前はロッカーに入る前にセルヒオ・ラモスのプレー集を5分ほど見て気持ちを高める。それと中学2年から続けているサッカーノートがある。試合で意識することを書き出すことで、自分のプレーに集中できる。僕には欠かせないルーティンですね。

 ――24年オフに福岡復帰を決断した理由と他クラブで得た経験は

 上島 マリノスでも充実したシーズンを送っていたが、自分がもっと成長できる環境を考えた時、アビスパで挑戦したいと思った。レイソルやマリノス、ACL、ACLEで経験を積み、選手としての自信は大きくなった。その経験をアビスパへ還元したい思いも強かった。

 ――昨季は苦しい時期も経験した

 上島 自分の感覚と(金)監督が求めるプレーのイメージがなかなか一致しなかった。キャプテンの奈良選手の離脱もあって、自分がチームを引っ張らなければという思いが強くなり過ぎた部分もあった。苦しい時間を過ごしたからこそ、自分を見失わずに向き合えた。転機は昨年8月の岡山戦。FWルカオのようなフィジカルの強い相手との勝負で「これが自分のプレーだ」と思える内容を出せたことが、大きな自信につながった。

本紙の取材に答える福岡・上島拓巳
本紙の取材に答える福岡・上島拓巳

 ――新キャプテンを任され、自分らしいリーダー像をどう描いている

 上島 正式にキャプテンを伝えられたのはリリースの2日前だったが、シーズン前から塚原監督とは何度も話をしていたので覚悟は決まっていた。監督が僕を選んでくれた理由があると思うので、気負わず、ありのままの自分でチームを引っ張っていきたい。真面目さや芯の強さ、自分の言葉で発信することが、自分らしいリーダーシップだと思っている。

 ――クラブ初の秋春制シーズンへ懸ける思いは

 上島 本気でタイトルを狙えるチームだと思う。周囲の期待を良い意味で覆し、アビスパらしく粘り強く戦っていきたい。

 ――第2子も誕生した

 上島 家族の大黒柱としての責任感はより強くなった。家族の存在がサッカーにも良い影響を与えてくれていると感じている。帰宅時間が早いので育児や家事も手伝っている。子供の着替えや歯磨き、食事の世話は一通りやっている。

 ――夫婦の時間も大切にしている

 上島 普段から子供と過ごす時間は多いので、オフの日はシッターさんに預けて夫婦2人で過ごす時間をつくっている。我が家では「子供を一番の軸にしない」という考え方。夫婦関係が良いことが子供にとっても一番良い環境だと思っている。20年に福岡で妻と出会い、糸島へ初デートに行った。今では福岡は家族との思い出が詰まった特別な場所になった。車や家では自然と手をつないだり体に触れたりと、今でも夫婦でイチャイチャしていますね(笑い)。

 ――お気に入りの福岡グルメは

 上島 福岡大名ガーデンシティにあるイタリアンの「ガエターノ」にはよく行く。ピザの「チチニエッリ」は飛び上がるほどおいしくて大好き。カフェの「ASAKO」もお気に入りで、桃のかき氷は2800円と驚いたが、それだけの価値があるおいしさだった(笑い)。体を鍛えたり短髪にしたりしているのは、男らしいタイプが好きな妻の影響。右サイドの髪や眉毛のラインは自分のこだわりで、現役を引退するまでトレードマークとして続けていきたい。

 ――将来の夢や、その先に描く人生は

 上島 現役中からNISAなどで資産運用をして、引退後も仕事に縛られない人生を送りたい。その上で、将来的にはスパイクなど提供してもらっているアシックスに入社し、日本サッカーに貢献できたらという夢がある。そのために英語も勉強しているし、家族と幸せに暮らしながら、ゆくゆくはゴルフも楽しめたら最高ですね。

 ――最後に今シーズンへの決意を

 上島 クラブとしては5位以上を目標に掲げているが、自分は本気で優勝とタイトルを狙っている。シーズンが終わった時に「上島がキャプテンで良かった」と結果で言ってもらえるよう、全力で戦い抜きたい。

 ☆かみじま・たくみ 1997年2月5日生まれ、千葉県佐倉市出身の19歳。DF。186センチ、86キロ。柏レイソルU―12、同U―15、同U―18を経て中央大へ進学。2019年に柏レイソルへ加入。20年にアビスパ福岡へ期限付き移籍し、J1昇格に貢献。22年に横浜F・マリノスへ完全移籍し、J1連覇やACL準優勝などを経験した。25年に5年ぶりにアビスパ福岡へ復帰。26/27シーズンからキャプテンを務める。背番号5。