反ユダヤ主義的な発言などが問題となり英国、フランス、スイス、ポーランドでの公演が中止になったカニエ・ウェスト(48)のイタリアでの次回のコンサートが物議を醸し出している。米誌バラエティが22日、報じた。

 現在「イェ」の名前で活動しているウェストは、2022年頃からユダヤ人やホロコーストに関して反ユダヤ主義的発言を繰り返していたことが原因で、ロンドンで毎年夏に開催される恒例の野外音楽フェスティバル「ワイヤレス・フェスティバル」でヘッドライナーに決定していたが、英国政府から入国を拒否され、フェスティバルは中止となった。同様の理由でフランス、スイス、ポーランドでの公演も中止となっている。

 しかしウェストは7月18日にイタリア北部レッジョ・エミリアのRCFアリーナで開催される「ヘルワット・フェスティバル」でヘッドライナーを務める予定だ。主催者によると、会場の収容人数は10万3000人で、ウエストにとってこれまでで最大規模のアリーナ公演の一つとなる。

 フェスティバルは現時点で予定通り開催される見込みだが、イタリアのユダヤ人コミュニティ、反ファシスト抵抗運動グループ、労働組合、政治家らは猛反発し、中止を求めている。 

 欧州議会副議長であり、イタリア民主党の重鎮でもあるピナ・ピチェルノ氏は、イタリア政府に対し、英国、フランス、ポーランドと同様の立場を取り、介入するよう強く求めている。

 一方、レッジョ・エミリア市長のマルコ・マッサリ氏は中立的な立場を取っており「カニエ・ウェストの言動とは距離を置く」と述べたものの、ウェストの入国や公演に関する決定はイタリア内務省に委ねられており、内務省は今のところコメントを発表していないと語っている。

 同フェスティバルの芸術監督ヴィクター・ヤリ・ミラニ氏は、イタリア通信社ANSAに対し、このイベントを「自由な芸術表現のための空間」と呼んだ。ミラニ氏はさらに「アーティストの過去の発言は確かに正当な反応を引き起こしたが、我々はイェが1月にウォール・ストリート・ジャーナルを通じて正式に謝罪し、自身はナチスでも反ユダヤ主義者でもなく、双極性障害を患っていると述べたことも忘れてはならない。我々は彼にイタリアでも謝罪するよう求めた」とウェストを擁護している。