フィギュアスケート金メダリストが、ロシアの重鎮タチアナ・タラソワ氏による〝体罰〟を告白した。

 1988年カルガリー五輪フィギュアスケートアイスダンスで金メダルを獲得したナタリア・ベステミアノワ氏が、ロシアフィギュアスケート界の体罰問題について同国メディア「ソブスポーツ」に語った。

 同メディアは「オリンピック金メダリストのナタリア・ベステミアノワが、ソ連の名指導者タチアナ・タラソワから受けた平手打ちについて語った」と報じた。

 前段として、五輪のバイアスロンで4個の金メダルを獲得しているアレクサンダー・チホノフ氏が「フィギュアスケートのコーチによる身体的虐待を目撃した」と告発して話題となっていた。

 そうした状況を受けて、ベステミアノワ氏がロシアフィギュアスケート界の指導における実態を明らかにした。

「私たちの著書『三人組』を読めば、似たような事件が描かれているのが分かります。しかし、チホノフはそこにいませんでした。もしかしたら、彼は何か別のことを言っているのかもしれません。彼が(具体的な事例として)何を言っているのかは、私には分かりません」と切り出すと、体罰についてこう続けた。

「周知の事実です。代表チームの練習のウオーミングアップ中に、タチアナ・アナトリエブナ(タラソワ氏)に平手打ちを食らいました」とかつての恩師から体罰を受けたことを明言した。

ナタリア・ベステミアノワ氏(前列左)の現役時代(ロイター)
ナタリア・ベステミアノワ氏(前列左)の現役時代(ロイター)

 ただベステミアノワ氏は「彼女に恨みなど全くありません。何かがうまくいっていなかったから、あれは唯一可能で正しい判断だったんです。私は本来の自分じゃなかったんです」と気合を入れ直すためには必要なものだったとの見解を示した。

 しかし自身は受け入れたものの、体罰を全面的に肯定するつもりはないと強調。「私のケースでは、タチアナ・アナトリエブナの判断は完全に正しかった。しかし、他のケースでも同じようなことがあったのか、あるいは他のコーチが他の生徒に対して同じことをすべきなのかは、私には分からない」と複雑な胸中を明かした。

 ロシアフィギュアスケート界はスパルタ指導が長年の伝統として受け継がれており、実態の解明が注目されそうだ。