東京・赤坂の高級個室サウナ店「SAUNATIGER」で男女2人が死亡した火災で、サウナ室のドアノブが外れて閉じ込められた可能性があることが16日明らかになり、衝撃が走った。同店はタレントやスポーツ選手が宣伝協力したことで知られていたが、利用者からは宣伝や外装、内装などにこだわるあまり、安全管理が不十分だったのではと批判の声が出ている。

 男女2人はサウナ室に入った後、何らかの原因で内側、外側の双方のドアノブが外れてドアを開けられなくなり、閉じ込められた可能性がある。サウナ室にはフロントに連絡するための非常ボタンがあるが、警視庁は2人がそれを押して正常に作動したか調べている。16日午前には現場検証が行われた。死因はまだ明らかになっていない。

 2人は夫婦で川崎市の会社経営松田政也さん(36)、自営業陽子さん(37)。松田さんは「脱白髪染めハイライトの創始者」をうたい、注目を集める人気美容師だった。15日午前11時ごろに来店した後、火災があり、約1時間半後の午後0時25分ごろ、「ベルが鳴っている」と110番があった。

「SAUNA――」は2022年8月にオープンした。月額会員は最高39万円。芸能界やスポーツ界でも知られていた。利用者の話。

「タレントやスポーツ選手が宣伝協力していました。ブラックを基調としたシックな外装とラグジュアリー感があふれる内装は、高級個室サウナ店をうたうにふさわしいものでした。サウナハットやガウンなどアメニティーも充実。1階が入り口でラウンジとマッサージスペースがあり、ラウンジではカルボナーラやハンバーガー、シャンパンなどが提供されました。2~3階に個室サウナ、4~5階にペントハウスがあり、個室サウナは計5室ほどだったと思います。今回の火災現場は2~5階のいずれかということになります」

 複数の関係者によると、外国人タレントが「監修」の立場で関わったが、実質的な〝広告塔〟に過ぎず、オープンから1年でその立場は終了したという。

 火災ではサウナ室の壁や座面、背もたれやタオルが燃えていた。スマホなどの持ち込みが可能だったことからスマホやモバイルバッテリーから発火した可能性が指摘されているほか、出入り口のドアノブが外れていたことが分かった。ドアノブは木製のL字形で、2人は閉じ込められた可能性も出ている。

 元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は現場の状況からバッテリーなどの出火ではなく、自然発火の可能性を指摘した。「長い間に木製の壁の裏側が高温で炭化し始めて発火したのではないか。低温火災、伝導加熱火災といわれます。燃えたところがわずかなので一酸化炭素中毒は考えにくい。急激な高温により意識不明になったのではないか」

 ドアノブが壊れていたのは逃げようとした際に慌てて扱ったことで壊れた可能性があるが、蹴飛ばせることができたのではないかの疑問が残る。そのため火災による高温でネジ類が壊れて外れた可能性もある。また非常ボタンについてはカバーが壊され、押された形跡はあるが、作動していなかったとみられる。

「建築基準法、消防法からサウナの建築規制は厳しくなります。特に壁の炭化などが想定され、より厳格になるところ」(金子氏)

 ドアノブやドアキーも非常時などを考慮し、サウナでは一般的には取り付けられないという。

 サウナブームで沸く中で起きた火災に利用者からも不安の声が上がる。不可解な点も多く、消防と警察は火災原因や死因、設備の不備などを詳しく調べていくことになる。