【多事蹴論99】日本代表のレジェンド招集プランはなぜ実現しなかったのか――。2006年ドイツW杯アジア1次予選の“天王山”オマーン戦(04年10月13日)に勝利したジーコジャパンはアジア最終予選への進出を決めた。日本代表を率いるジーコ監督は同11月の1次予選シンガポール戦が消化試合となることから日本サッカー界を支えていた35歳以上のレジェンド選手を招集する構想を抱いていた。
指揮官は「あくまでまだプランだが、本当に今まで代表でも日本のために長年戦ってきた選手に心から感謝の気持ちを持っている。歴史を築いてきてくれた人たちにこうした場でプレーしてもらいたい。もう一度、国のユニホームを着て、日の丸を付けて戦ってもらいたい」と明言。日本サッカー協会の川淵三郎キャプテン(会長)も「ジーコから聞いた。35歳以上の選手をシンガポール戦で使いたいと。日本のために貢献してくれた選手で…。そういうプランを出してくれたジーコに感謝したい。観客も喜ぶだろう」と笑顔を見せた。
ジーコ監督の構想ではカズことFW三浦知良やゴンことFW中山雅史をはじめMF山口素弘、DF秋田豊、DF相馬直樹、FW岡野雅行らを候補に加えて、ケガなどで日本代表から遠ざかっていたMF稲本潤一やMF中田英寿らを招集する意向で「ブランクのある選手がプレーできるのであれば話し合って代表に呼びたい」とし「本当に負けてもいいとは思っていないんだ。余興の試合ではない。今までと同じ気持ちで代表のユニホームを着てほしい。それが偽らざる気持ち。そして勝ちを狙う」と訴えていた。
招集されれば2000年のトルシエジャパン以来4年ぶりの日本代表復帰となるカズは「呼ばれれば代表に行くよ。それに公式戦だからね。勝つためにプレーしたい」と意欲を示した。しかしサッカー界から「日本代表」という国内最強チームにベストメンバーを招集しない方針に不満の声も出ていた。特にクラブ側からは普段、日本代表でスタメン出場できないサブ選手の積極起用を求める意見が出ていた。
また、日本サッカー協会の田嶋幸三技術委員長は、W杯アジア予選を管轄するアジアサッカー連盟(AFC)がジーコ監督のプランに難色を示していることを明かし、AFCピーター・ベラパン事務総長から「ウワサに聞くところでは元代表選手を呼んで試合をするとのことだが、それはふさわしくない」という趣旨の文書が届いたという。まだ最終予選進出が決まっていないチームもあるため、あらぬ疑いがかけられる懸念も生じていた。
最終的にジーコ監督は田嶋委員長の説得もあって“レジェンド招集”を断念。サブ組を中心としたメンバーでシンガポール戦に臨み、1―0で勝利したが、試合が終わってもサッカー界では賛否両論が渦巻いていた。
(敬称略)












