〝圧勝V〟はなるか。大相撲夏場所9日目(19日、東京・両国国技館)、綱取りに挑む大関大の里(24=二所ノ関)が幕内宇良(32=木瀬)を送り出して完勝。初日から9連勝で単独首位を堅守した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は、快進撃を続ける今場所の相撲内容を徹底分析。議論の余地のない「完全優勝」での綱取り達成に期待を寄せた。

 業師を難なく退けた。立ち合いはもろ手突きを選択。宇良をのけぞらせて主導権を握ると、いなして相手の体勢を崩してから落ち着いて送り出した。取組後の支度部屋では、普段通りの淡々とした口ぶり。「良かったです。目の前の一番に集中して取りました。明日も、しっかりやるべきことをやっていきたい」と気持ちを引き締めた。

 この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「立ち合いから腕を伸ばして宇良を中に入らせず、その後も相手より先に手を出して自分の距離感を保ちながら相撲が取れていた」と分析。今場所全体を通して「リーチの長さを生かした攻めだけでなく、大きい相手にはしっかり体をぶつけて圧力をかけている。精神的に落ち着いているし、体も張りがあって大きく見える。心技体が充実して、自信を持って土俵に上がっている」と指摘した。

 これで、初日から無傷の9連勝。1差で追う後続も平幕力士2人となり、早くも独走ムードが漂い始めている。大の里が初土俵から所要13場所で横綱昇進を達成すれば、昭和以降で羽黒山、照国の16場所を抜き最速記録となる。年6場所制となった1958年以降では、輪島の21場所を大幅に更新。同じく年6場所制以降、新入幕から横綱まで所要9場所は、昭和の大横綱・大鵬の11場所を抜いて最速となる。

 全てが順風満帆に見える綱取りに〝落とし穴〟はないのか。秀ノ山親方は「過去の場所では、まともに引いたり、はたきにいく相撲もあった。ここから優勝が近づいてきても、小手先に頼らずに今の相撲を貫けるかどうか。最後まで自分の力を信じて、目の前の一番に集中すること」とポイントを挙げた。

 横綱豊昇龍(25=立浪)は、大関だった昨年九州場所で13勝2敗の優勝次点。初場所は12勝3敗で優勝し、横綱昇進を果たした。一方で、この場所で豊昇龍は平幕力士に3敗。綱取りの可否を巡っては、ファンの間でも意見が分かれた。大の里には、議論の余地のない好成績を残し、すっきりとした形での横綱昇進が望まれる。

 秀ノ山親方も「もともと横綱になるだけの力を持っている力士。誰もが認める強さを示した上で勝ち星を重ねていけば、おのずと(綱取りの)雰囲気も生まれてくる。〝完全優勝〟と言えるような好成績を残してもらいたいですね」と期待を寄せた。このまま快進撃を続けて歴史的な偉業を果たすことができるのか。大の里の残り6日間に注目だ。