【イギー・ポップ/ラスト・フォー・ライフ(1977年)】

「パンクのゴッドファーザー」と呼ばれるイギーが、ストゥージズ解散後に発表したセカンドソロアルバム。解散後はドラッグと奇行を繰り返していたが、盟友であるデビッド・ボウイが全面バックアップした大傑作である。

 当時、ボウイはいわゆる「ベルリン3部作」に取り組んでいたが、薬物治療に取り組んでいたイギーを復活させるべく1976年のツアーに帯同させて、77年3月に初のソロアルバム「イディオット」で復活させた。

 セカンドは短期間で録音されて同年8月にリリースされた。とにかく性急な楽曲群が圧巻だ。冒頭を飾る「ラスト・フォー・ライフ」のイントロのドラムはモータウンのリズムを拝借しながら、聴く者を圧倒する強烈なビートが叩き出される。96年の映画「トレインスポッティング」でも使用されて再ヒットしたのでご存じの方も多いだろう。

 ボウイはこの時期に別プロジェクトに取り組んでいたため、パンクに対する自分の回答としてイギーを通じ、この曲を世に出したのではないだろうか。通常のパンクバンドがぶっ飛ぶほどの迫力に満ちている。

 さらに「シックスティーン」「サム・ウィアード・シン」「ザ・パッセンジャー」と緊張感に満ち、かつ性急な名曲が続くA面は息をつく間もない。A面ラストの「トゥナイト」は84年に共作者のボウイがカバーした名曲である。

 タイトルは「生きることへの欲望」を意味しており、一時は廃人寸前になったイギーは、この作品で完全にロックシーンに復帰した。ボウイとは2作で決別。完全にドラッグと手を切って健康的な日常を取り戻し“肉体派”となったイギーは、80年代に再び薬物治療に取り組む時期もあったが、再度復活して精力的にソロアルバムを発表していく。4月には77歳にして来日も決定。何度も地獄を見た男の声は常にリスナーの胸に突き刺さる。