【ザ・フー/フーズ・ネクスト(1971年】

 世界的ハードロック・バンド、ザ・フーの最高傑作。「とにかくデカい音で聴くものを圧倒する」というコンセプトが前面に押し出され「音の存在感」は当時の他のバンドを凌駕した。

 1965年のデビュー曲「アイ・キャント・エクスプレイン」からシングルを中心に活動して当時の英国ティーンエージャーの代弁者となった。日本で認知度が低かったのも、そのあたりの文化の違いが大きい。

 バンドは一躍、英国でトップとなるも低迷期を経て、69年にはロックオペラ「トミー」を完成させて、世界的な評価を受ける。この路線を歩もうと壮大なロックオペラ「ライフハウス」の制作に取り組むが、ギタリストのピート・タウンゼントのアイデアがあまりに難解だったため頓挫。作られた楽曲で「フーズ・ネクスト」は構成されている。

 ところが同作は歴史に残る大傑作となった。4人だけでもやかましいほどの音だったにもかかわらず、シンセサイザーを大胆に導入。ハードロックと融合させることに成功した。捨て曲は1曲もない。冒頭の「ババ・オライリィ」、「ビハインド・ブルー・アイズ」、「バーゲン」、そして最後を飾る「無法の世界」。

 鋭い批評を込めた歌詞もさることながら、とにかく固く激しく構築された大きな音は、ハードロックが到達したひとつの金字塔である。

 バンドはその後も73年にコンセプトアルバム「四重人格」を発表して名声を高める。今聴いてもまったく音の感触と存在感は衰えていない。大音量で聴いてほしいアルバムである。