【メタル・ボックス/パブリック・イメージ・リミテッド(1979年)】
元セックス・ピストルズのジョン・ライドンが、パンクの残骸を破壊してしまったPILのセカンドアルバム。当時では画期的だった45回転3枚組LPが、曲目が記された薄っぺらい紙1枚と、フィルムケースのような金属製のボックスに入ったアルバム。すべては音質を向上させ低音を強調するためのジョンの戦略であった。レゲエ、ダブの手法を全面的に導入している
音はとにかく低音があまりに重厚すぎるほど鳴らされる。10分を超えるオープニングの「アルバトロス」はもはやパンクの地平から遠く離れた呪術のような曲だ。
音数は少ないがジャー・ウォブルの簡素かつシンプルなベースはとにかく圧巻。そこにキース・レヴィンのエキセントリックなギターと呪いを唱えるようなジョンのボーカルが乗ってくる。
テンポが速くパンクの香りを残した「ポップトーンズ」「メモリーズ」「スワンレイク」なども不協和音を楽曲として成立させたナンバーで、ジョンのボーカルは憎悪に満ちている。踊れない。叫べない。聴く者はただただ圧倒されるだけだ。
卓越した音楽センスやアイデア、前衛的な発想力は、どんなテクニックも凌駕することを証明した名作でもある。続く「フラワーズ・オブ・ロマンス」でPILはひとつの頂点を迎える。ちなみに発売当時、私は7980円で買ったが、今では倍以上の高値がついている。入手は困難かもしれないが、時代の空気とアルバムのすごさを実感するには、ぜひアナログで聴いていただきたい。












