【キング・クリムゾン/レッド(1974年)】

 個人的な話で恐縮だが、いわゆるヘヴィメタルが苦手だ。私にとって「重く金属的な音」といえば1970年代のキング・クリムゾンの実質的ラストアルバム「レッド」に尽きる。プログレッシブ・ロックの頂点にありながら最後のアルバムは極めてハードな内容だった。

 ロバート・フリップ、ジョン・ウェットン、ビル・ブルーフォードの超絶的技術を誇る3人が即興のようで実は緻密に構成された楽曲から生み出す緊迫感。同時に全曲のメロディーも優れており、文句のつけようがない。全曲に漂う攻撃性と抒情性と力強さが備わったサウンドは他に類を見ない。「破壊と創造」が同居したスタイルは後のあらゆるロックグループに多大な影響を与えた。

 デビュー当時の抒情性を前面に出したバンドの方向性は消え、前々作の「太陽と戦慄」(73年)からバンドは攻撃的なスタイルに変ぼうを遂げてこの作品でひとつの境地に達した。冒頭の「レッド」から破壊的なギターが鳴り響き、続く「堕落天使」でゆがんだ抒情性が強調される。ラストの「スターレス」中盤以降では、サックスを加えたジャズのエッセンスを加えた即興演奏が息をつく間もなく12分38秒も続き、アルバムは終了する。可能ならアナログの音空間の奥行きを味わってほしい。クリムゾンは81年に再結成して現在に至るが「レッド」はどの時代をも超えた超名盤である。