東京・高田馬場の路上で11日午前10時ごろ、佐藤愛理さん(22)が刃物で刺され、病院に搬送されたものの死亡が確認された。近くにいた職業不詳の高野健一容疑者(42)が警視庁に殺人未遂容疑で現行犯逮捕。被害者は配信者だといい、動画を生配信しながら歩いているところを男に襲撃されたとみられている。2人の間には金銭トラブルがあったというが、女性の生配信が男に居場所を知らせてしまった可能性がある。

 現場はJR高田馬場駅に近く、語学学校があるなど人通りの多い路地。近隣住民によると、「助けて!」と女性の尋常ではない悲鳴が聞こえたという。目撃した女性は「女性と男性が向かい合っているような形で、男性が女性を殴っているように見えました」と振り返った。別の目撃者によると、男が両手で殴っているようにも見えたという。

 男はこの後、奇妙な行動に出ている。「女性が倒れると男性はスマホで女性を撮影し出したんです。気味が悪かったです」(前出の女性)。犯行直後に駆けつけた近所の自営業男性も見ていた。「交通事故かなと思って行ったら女性が倒れていた。首から上が血まみれで道路にも血が流れていた。女性のそばに男性がいたから『警察に電話してもらえましたよね』って聞いたら無言でした。後から声をかけた相手が犯人だと知ったけど、犯人にしては興奮もしていないし無表情だった。女性のそばから離れないでスマホで女性の顔をアップで撮影していたから気持ち悪かった」と話した。警察が駆けつけると、男は抵抗することもなくあっさり逮捕されたという。

 女性は顔や胸など上半身に複数の刺し傷があった。現場からは刃渡り約13センチの刃物が見つかり、男のリュックサックから別の刃物も見つかっている。男は「殺そうとは思っていなかった」と供述している。

 女性は配信者といってネットを通じて動画を配信することで一部で知られていた。この日も山手線を徒歩で一周する企画を行っていたようで、生配信中に襲撃されたとみられている。

 ファンだったという男性が現場に手を合わせに来ていた。「面白い子がいるからって聞いてから配信を見ていた。彼女の配信の魅力はいつも明るかったところ。元気をもらえるような子だった。今日、山手線の配信があるっていうのも知っていました。生配信は結構やっていましたよ。屋外からもやっていた。だから面白かった部分もあります。応援していた子が死んでしまってやるせない」とうつむいた。

 この屋外からの生配信が危険だと指摘する声もある。配信者事情に詳しい関係者は「屋外からの生配信はリアルタイムで自分の居場所を公開することになるので危険だと以前から言われていました」と語った。「配信者とそのファンは距離が近いというか、ファンが勘違いしやすい。コメントを書き込むと配信者が笑顔で反応してくれるから勘違いしちゃうのです。また、狭いコミュニティーのわりにはアンチが生まれすい。コメントを無視されたとか、なんか気にくわないまで理由はいろいろです」(同)

 もっとも被害者と男が配信を通じて知り合ったかは不明。分かっているのは2人の間に金銭トラブルがあり、双方が警察に相談していたということだ。男は「貸した金が返ってこなかった」という供述もしている。

「深刻なトラブルがある状況で屋外からの生配信はリスクが高かったでしょう。相手に居場所を教えているようなもの。犯人も生配信で女性の居場所を特定したのかもしれません」(同)

 とはいえ、襲うなんてことがあっていいはずはない。