地獄の日々は、ある日突然始まった――。アイドルグループ「アリス十番」の立花あんな(21)が、ネット上で殺害予告を繰り返し受けていた。卑劣極まりない“予告魔”は、16日に脅迫容疑で逮捕された。立花のファンだった容疑者は、17年前に起きた神戸連続児童殺傷事件の犯人をほうふつとさせる「第二の酒鬼薔薇聖斗」を名乗り、殺害を予告。10か月間、脅され続けた立花を緊急取材した。

 城東署によると容疑者は昨年7月21日、立花のブログに「32害459(注・殺害予告)、7日後に行きます」「第二の酒鬼薔薇聖斗」とのコメントを書き込んだ疑いで逮捕された。ほかも含めて計11回の殺害予告をしていた疑い。「自分の存在を認めてほしかった」と供述しているという。

 1月にグループのセンターに指名され、活動にはずみをつけた立花の心は、書き込みが始まった5月に砕かれたという。事務所でブログを読んでいると「PVを見てファンになりました」との書き込みを見つけた。リンク先のURLに飛ぶと、血まみれになった自身の画像とともに「僕の可愛い人参さん、特注包丁でザクザク切り刻んであげるよ」と書かれたブログが表示された。見知らぬ何者かに、明確な殺意を向けられたのだ。

「私のイメージカラーは人参と同じ赤。殺人とかストーカーとか遠い世界の話だったのに…。恐怖でその場に泣き崩れて動けなくなった」と立花。

 容疑者はその後も複数のアカウントでブログやツイッターを毎日更新。殺害予告はひっきりなしに続いた。

「寝ている私の写真に、日本刀を刺してる画像をアップしていて…。怖かった」(立花)

 一連の悪意あるメッセージは立花に「地獄のような日々」を強いた。劇場と自宅との往復は「後ろを振り返りながら帰った」のも当然だ。「家のお風呂場の外に見える人影も怖くて、物音におびえてました」

 犯人が「酒鬼薔薇」を名乗ったことで、1997年の神戸連続児童殺傷事件を調べたが「さらに恐怖が増した。調べなきゃよかった」。これも、書き込みの狙い通りか。

 立花が頼りにできるのは事務所スタッフと、7月に被害届を提出した警察だけだった。2人暮らしの母は、芸能活動に積極的に賛成の立場ではなかったため、仕事をやめさせられるという不安から打ち明けられなかったという。

 高校時代から親友の女性に打ち明けると「友達は『あんなが殺されたらいやだよ』って怖がって泣いてしまって。これは言っちゃいけないことだと思いました」。そう言って立花は涙を流した。

 公表も考えたが、警察から「犯人を刺激するのだけはやめてほしい」と止められた。

 警察は11月2日、東京・秋葉原の劇場付近にいた容疑者を万世橋署へ任意同行。容疑については認めたものの、投稿の事実確認が必要だったため、逮捕には至らず。署内で事務所社長から厳重な注意を受け「すみませんでした。もうしません」と言っていたにもかかわらず、その夜には再び殺害予告を再開した。

 10月には女子高生タレントが殺される「三鷹ストーカー事件」が都内であった。

 立花は「まったく人ごとじゃなくて、いつ私の近くに来るのかと思うと恐ろしかった」と振り返る。ただ、殺害予告が届いている間も「自分の夢があるので、仕事をやめようとは思わなかったです」。

 16日の逮捕に安堵したのも一瞬のこと。「逮捕されても出てくることもある。すごい怖い」と恐怖心はいまなお残る。

「命の危機を感じて毎日が不安だった。私も親に言えなかったけど、今は早く言うべきだったと思う。同じようなことで悩んでる方がいれば、被害に遭った自分の経験から助けになりたい」

 有名税ではとても済ませられない事件だ。