「ヤツ」の季節がやってきた。「ヤツ」とは牡蠣、それも生牡蠣のことだ。何故、ヤツと呼ぶかというと8回も当たっているから(呆)。ドクターからも注意されているのだから、よせばいいのに旬の季節になると頼んでしまう。そのくらい生牡蠣は魅力的だ。

 さて、生牡蠣といえば昔からシャブリが合うと言われているが、それは本当だろうか? 確かにおいしいけれど、食べた後、何となく生臭さが残る。気のせいかと思い、ソムリエの友人に聞くと、「ワインに含まれる二価鉄イオンは、魚介類の臭み成分を助長する」と教えてくれた。生牡蠣ならまだいい。イクラや数の子を白ワインに合わせると、口の中に生臭さが一気に広がってしまう。

 では一体、どんな酒を生牡蠣に合わせたらいいのだろう? それは日本酒だ。日本酒に含まれるアミノ酸は、魚介類の生臭みを包み込む働きがある。エビや魚を料理する際、日本酒を使うのは旨味をプラスするだけでなく、臭み消しの役目もあるのだ。驚くことに日本酒に含まれるアミノ酸は白ワインの約10倍。そりゃぁ、合わないはずはない。

 生牡蠣に合わせたい日本酒は、「紀土 純米吟醸 しぼりたて」(和歌山・平和酒造 税込1320円)。舌を包み込むようなソフトな口当たりで、甘味と酸味のバランスが「最高!」の一言。しぼりたてならではのフレッシュ感と、ほど良い米の旨味が生牡蠣のミルキーな味と共鳴し合い、どちらもお代わりをしたくなってしまう組み合わせだ。この魅惑のマッチングを一度知ってしまうと、なかなかワインには戻れない。

生牡蠣にピッタリ合う日本酒「紀土 純米吟醸 しぼりたて」
生牡蠣にピッタリ合う日本酒「紀土 純米吟醸 しぼりたて」

 そういえば、今年に入って既に生牡蠣を何個も食べているが、まだドクターのお世話になっていない。聞くところによると、最近の生牡蠣の中には、無菌の海洋深層水で育てられた完全陸上養殖のものもあるという。これは生牡蠣ラバーにとって朗報。当たらないことを信じて、今日も生牡蠣を昼から食べるとしよう。