〝究極の選択〟だ。大相撲春場所(大阪府立体育会館)が24日、千秋楽を迎える。優勝争いは新入幕の尊富士(24=伊勢ヶ浜)が12勝2敗で単独首位に立つ一方で、14日目には衝撃的なアクシデントに見舞われた。勝てば優勝が決まる幕内朝乃山(30=高砂)との取組で、右足を負傷。救急車で病院へ搬送される事態となった。

 まず注目されるのが、尊富士の出場の可否だ。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「軽傷を祈るしかない。相撲を取れればいいんだけど…。次の場所もあるし、無理をしては元も子もない。今後の相撲人生もある。(負傷が)どの程度か。それを聞いて師匠(伊勢ヶ浜親方)が判断するでしょう」。軽傷であることを願いつつも、負傷の程度によっては休場もやむを得ないとの認識を示した。

 春場所では、今から7年前の2017年に劇的なドラマがあった。新横綱の稀勢の里(現二所ノ関親方)が全勝で迎えた13日目の横綱日馬富士戦で左上腕と左大胸筋を負傷。左腕を三角巾でつる処置を受け、病院へ救急搬送された。ところが、稀勢の里は翌日も強行出場。千秋楽で逆転優勝を果たし、大相撲ファンを熱狂させた。ただ、強行出場の代償は大きかった。最大の武器だった左おっつけは威力を喪失。その後は休場を繰り返し、優勝できないまま19年初場所で引退を余儀なくされた。

 尊富士は千秋楽の本割で幕内豪ノ山(武隈)に勝てば優勝が決定。負けても、1差で追う幕内大の里(二所ノ関)が大関豊昇龍(立浪)に敗れれば優勝が決まる。尊富士が負け、大の里が勝てば優勝決定戦となる。

 休場しても優勝の可能性があるとはいえ、全ては大の里の結果次第。強行出場すれば自力で優勝を決めるチャンスがある半面、本割や決定戦で故障を悪化させるリスクもつきまとう。

 新入幕で優勝すれば110年ぶりの快挙となる中、どのような決断を下すのか。