中古車大手ビッグモーター(BM)は旧ジャニーズ事務所方式で清算処理となってきた。伊藤忠商事と伊藤忠エネクス、企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)の3社がBMを買収する方針を固めたことが21日、分かった。悪名をとどろかせたBMはどうなるのか――。

 BMを巡っては、昨年11月に伊藤忠ら3社が独占交渉権を得て、資産査定を行っていた。今春までに結論を出すとしていたが、3月にも3社がBMの再建を支援する形で正式契約を結び、4月に新体制に移行する。事実上の買収となる。

「中古車市場で全国展開し、トップシェアを誇ったビッグモーターの店舗、顧客、販売網は強み。一方で保険金の不正請求や街路樹伐採など問題山積で、伊藤忠は風評被害を懸念していたが、自動車ディーラーのヤナセや日産大阪など多くの自動車関連企業をグループ内に持つだけにノドから手が出るほど欲しいところ。伊藤忠の岡藤正広会長の発言も前のめりで、さすがにちゃぶ台返しはないとの雰囲気であった」(経済評論家)

 BMは創業者の兼重宏行元社長と息子の宏一元副社長が代表を務める資産管理会社が株式を保有しているが、2分割し、伊藤忠ら3社連合が設立する新会社がその半分を買収し、優良店舗などを移行させる。もう半分はそのまま存続させ、不正請求問題や訴訟、賠償などへの対応に専念させるという。

 兼重親子が新会社の経営に参加することはなく、社名も「ビッグモーター」から改める。訴訟対応の旧会社に兼重親子は約100億円を出資させることで、責任を持たせる方針だ。

 ジャニー喜多川氏の一連の問題で、旧ジャニーズ事務所が「SMILE―UP.」に社名を変更し、被害者救済のみで存続し、所属していたタレントは新会社「STARTO ENTERTAINMENT」に移行することと似たようなスキームになることが予想される。

 新体制でもBMの風評被害をどこまで払拭できるかは未知数だが、伊藤忠はこの方式を採ることで、影響は最小限に抑えられると判断したからこそ買収の運びとなる。一方で、今後の焦点は兼重親子に捜査のメスがどこまで入るかだ。

 街路樹伐採問題で、神奈川県警は今月、BMの元役員の男ら3人を追送検すれば、別店舗で店長や社員を器物損壊や道路交通法違反の疑いで書類送検している。全国の店舗で捜査は相次いでおり、警察は主にBMを仕切っていた宏一元副社長の関与がどこまであったかを調べているとみられる。

「伊藤忠は資産査定で相当買い叩くとはいえ、兼重親子は売却利益で莫大なカネを得ることになる。これだけの問題を起こして、100億円の補償だけで、ほかはおとがめなしというワケにはいかないでしょう」(前出の経済評論家)

 兼重親子は売り抜けてバンザイとはまだいかないようだ。