両親への自殺ほう助罪に問われ、執行猶予中の歌舞伎俳優・市川猿之助(48)が、〝復帰〟に向けて動き出している。

 猿之助は、父親で歌舞伎俳優の市川段四郎さんと母親の延子さんの自殺を手助けした自殺ほう助罪で、有罪判決(懲役3年、執行猶予5年)を受け、昨年11月に刑が確定した。

「猿之助は公判の供述調書で、『許されるのであれば、歌舞伎の舞台に立ちたい』『歌舞伎で償いたい』と復帰への思いを口にしていた。執行猶予が明けるまで舞台に立つことは難しい状況に変わりはないが、〝裏方〟としてはすでに仕事復帰している」(梨園関係者)

 かつて当主として名門「澤瀉屋(おもだかや)」を率いていた猿之助。現在は、いとこの市川中車(香川照之)が代わりを務めているが、28日に都内で開かれた段四郎さんと昨年死去した市川猿翁さんの兄弟の合同お別れ会について、猿之助と中車は2人で相談しながら決めたという。

「中車は40歳を超えてから歌舞伎界入り。まだまだ実力不足で、澤瀉屋を切り盛りするのは難しい。澤瀉屋の将来が不安視される中で、2人は今後について念入りに話し合っている。その最も重要なものが〝後進の育成〟。年明けから中車の息子で、歌舞伎界期待のホープである市川團子の指導にあたっている」(同)

 取材によれば、28日の合同お別れ会で、中車は猿之助の近況について言及。團子が出演するスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」(東京・新橋演舞場、2月4日~3月20日)公演に向け、松竹に確認を取りながら「父から4代目(猿之助)に伝わったことを團子に、話し伝えていくという作業はしていただいております」と明かしたという。

「まだ20歳の團子だが、将来の〝5代目〟として歌舞伎界の期待は大きい。父・中車は團子を指導できるほどの実力はない。そうなると、團子に澤瀉屋の芸を伝えてきた猿之助に頼らざるを得ないのが実情です。一般的な考えからすれば、たとえ裏方とはいえ復帰は早すぎるかもしれませんが、澤瀉屋の存続には猿之助の力が必要なのも事実なんです」(同)

 猿之助にとってもネット上で「早すぎる」と批判されてもやむにやまれぬ事情がある。今回の事件の影響で、出演映画「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」が公開延期になったほか、歌舞伎公演なども中止になってしまった。多額の損害賠償問題は解決しないばかりか、映画やテレビ、CMなど芸能界で稼ぐにはイメージ的にも極めて厳しい。松竹内部からは猿之助が早く歌舞伎で収入を得ていってほしいと願う声は多い。

 中車にとっても、46歳という遅咲きで梨園入りした理由は息子の團子のためにほかならない。将来的に〝5代目猿之助〟を襲名させたい思いから決断しており、「息子のためにも」と水面下で猿之助とのタッグを進める必要があるという。

 後進の指導後は本来携わっていた企画やプロデュースなどにも復帰、そして歌舞伎俳優として舞台へ――。異例の早期復帰となったが、それだけ必要とされている証しとも言えそうだ。