両親への自殺ほう助罪に問われた歌舞伎俳優の市川猿之助(本名・喜熨斗=きのし=孝彦)被告(47)の判決公判が17日、東京地裁で開かれ、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の有罪判決が下された。猿之助被告は歌舞伎界復帰に意欲を持っており、松竹も当初は支援する方針を示していたが一転、「今後は全く白紙の状態」と態度を〝硬化〟。猿之助被告の復帰ロードに暗雲が漂ってきたのだ。その背景を探ると、ジャニーズ性加害問題があった――。 

 猿之助被告は5月、自宅で、父で歌舞伎俳優の市川段四郎さんと、母の喜熨斗延子さんに向精神薬を服用させ、自殺を手助けしたとして自殺ほう助の罪に問われていた。

 この日、猿之助被告は黒いスーツに青いネクタイ姿で入廷。東京地裁は判決理由について、「被告の思考が、自身の立場を踏まえて狭いものになっていたとしても、経緯や動機に酌むべき事情が多いとは言えない」などと指摘。一方、後悔の言葉を述べ、関係者も更生の支援をすること、前科前歴もないことを有利な事情として考慮した。

 先月20日の初公判では、裁判長から職業を聞かれると「歌舞伎俳優」と答えた猿之助被告。検察側から「許されるのであれば、歌舞伎で償っていきたい」との供述調書が読み上げられ、最終意見陳述では「僕にしかできないことがあればさせていただき、生きる希望としたい」と歌舞伎界復帰を望んだ。この日、松竹を通じて発表したコメントでも「今後は、生かされた自分に、これから何ができるか考えていきます」と前を向いた。

 執行猶予の長さとしては最長となる5年だが、執行猶予中に仕事をすることは問題はない。だが、注目されるのは松竹のコメントが硬化していることだ。

 初公判では、松竹の迫本淳一会長が「被告人に寄り添い、共に明日に向かって進んでいけるようにする」と支援する上申書を提出。ところが、判決後には「歌舞伎界への貢献に照らせば、本人を是非支えて参りたいと存じますが」と前置きした上で「今後につきましては、現時点ではまったく白紙の状態」と強調したのだ。

 それだけではない。事件を起こすきっかけとされる猿之助被告のセクハラ・パワハラを報じた記事にも言及した。

「あらゆるハラスメント行為は決して許されないものと考えており、各公演の製作現場をより健全で開かれた環境とすべく、ハラスメント事象の通報窓口の利用を弊社社員に加えてすべての舞台関係者を対象に拡大するなどの取組を進めております」と宣言。「現時点では報道された記事内容について、弊社として事実認識はございませんが、今後然るべく確認を行い、その結果に応じて必要な対応を行って参る所存です」と再調査を示唆しているのだ。

 この文面からは猿之助被告のハラスメント行為が明らかになれば、復帰も保証されたものではないことがわかる。

 実は、松竹の態度が硬化した裏には、故ジャニー喜多川氏の性加害問題が影響しているという。

「ジャニーズの性加害問題は海外報道で火がついて国内で社会問題化した。スポンサー企業は厳しい対応を迫り、芸能界に君臨してきたジャニーズ事務所が〝消滅〟したのです。これに松竹は衝撃を受けたとされます。歌舞伎は海外公演を行うなど世界に誇る日本文化。もしハラスメント行為が横行しており、それを海外で報じられれば、ジャニーズの二の舞いになりかねない」(梨園関係者)

 ファンからも松竹サイドにハラスメント問題の真相を求める声が少なからず届いているという。〝梨園の常識は世間の非常識〟と笑い話で済む時代ではなくなったというわけだ。

 猿之助被告は公判で、自身のハラスメント行為については言及していないが、今後松竹の調査で行為が確認されれば、歌舞伎俳優としてはもちろん、プロデュースや企画など裏方としての復帰も厳しくなる可能性がありそうだ。