恐れていたことが起こってしまった――。旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)の性加害問題で被害を訴えている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の40代の男性メンバーが10月中旬、大阪府箕面市の山中で死亡していたことがわかった。遺体発見時の状況から事件性はないとみられる。関係者によると、男性は自身だけではなく、家族にも容赦ない誹謗中傷が浴びせられることに切羽詰まった様子だったという。
捜査関係者などによると、山中で見つかり、その後死亡が確認された。遺体の近くには遺書とみられるメモ書きが残されていた。
男性は、旧ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏からの性被害をメディアなどで告発した。旧ジャニーズ事務所の窓口にも問い合わせて被害を訴えたものの、約5か月以上音さたなし。1人で活動を続けることへの不安などもあったことから、当事者の会への参加を決めたという。
だが、誹謗中傷は苛烈を極めた。SNS上には「ウソをつくな」「デビューしていないのに出てくるな」「便乗商法」「ジャニーズがなくなったのはお前のせい」などといった心ない投稿が殺到していた。
遺族は代理人弁護士を通じ「(旧ジャニーズ)事務所からはなんの応答もなく(訴えを)放置され、彼の焦燥感、悩みは深まっていました」と説明。また「(同事務所は誹謗中傷に)具体的な措置を講じていませんでした。心労は、性被害のトラウマの再燃とも相まって、一層深刻なものになっていました」とした。事情を知る関係者の話。
「男性が急死する前に、奥さんのもとには『この世からいなくなる』というような趣旨のLINEが届き、連絡が途絶えたそうです。帰宅もしなかったことから警察に連絡すると、山中で発見されました。残されたご家族は、本人が亡くなった実感がないといいます」
被害者への誹謗中傷は告発者だけではなく、その家族や親戚にも及んでいるというから深刻だ。この男性もその例に漏れない。
「家族も攻撃され、その影響が切実だったようで男性は切羽詰まった様子でした」(同)
被害者らは、生まれてきた子供たちの未来を少しでも良いものにしたいという思いから、勇気をふりしぼって顔出し告発をしている。にもかかわらず、被害者本人やその家族を攻撃するのは言語道断だ。
別の関係者は「自分への誹謗中傷は耐えられるが、その矛先が家族に及ぶことに心を痛める被害者は多い。職場に誹謗中傷が届くこともある。『金が入ったら海外旅行をおごってくれよな!』と言われた人もいます。なぜジャニーズ事務所が積極的に誹謗中傷対策に乗り出さないのかが不思議です」とも話している。
この男性に限らず、ジャニー氏の性加害を告発した人の中には、自ら命を絶とうと思ったり、行為に及んだものの、未遂で終わった人もいる。過去には実際に自ら命を絶ったという一部報道もある。
今回の一件を受けて、SMILE社はどう動くのか。旧ジャニーズ事務所は今月中に所属タレントの受け皿となるエージェント会社を立ち上げる予定だが、場合によっては、それも修正を余儀なくされそうだ。