芸能・エンターテインメント分野に詳しい弁護士の河西邦剛氏が17日、MBSテレビ「よんチャンTV」に出演。自殺ほう助罪に問われ懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の有罪判決が言い渡された市川猿之助(本名・喜熨斗=きのし=孝彦)被告について解説した。
河西氏は裁判全体の印象について「争点がない裁判、予想通りの判決」と分析。「今回、検察官がご両親双方に対して、自殺ほう助罪で起訴した。ずっと取り調べにおいても、猿之助被告は向精神薬を提供したことは認めていたので、一部問題になっているビニールをかけたとかそういったことが争点の中心から外れた。なのでほぼ実刑か執行猶予かのみが争点になっていて、大方執行猶予がつくと見られていたのでほぼ想定通りの判決かと思う」と語った。
また、判決については「執行猶予のつく判決の中では最も重いといえる。他方で2人の方が亡くなっていて、それに関与している犯罪となり、その被害の大きさから考えると決して重いとは言えない。妥当と評価するのは難しいが、重いとも言えない」と評価した。
さらに猿之助被告の今後については「復帰に向けた記者会見は必要」とし、「今回は2つの問題があった。1つは自身に関する、ご本人とご両親の事件。もう1つはハラスメント疑惑がある。今回の(判決後に出した本人の)メッセージにもハラスメント疑惑について一切触れられていない」と指摘した。
続けて「ハラスメントというのも、同じ役者さんだけでなく劇団関係者やスタッフに対する疑惑も存在している。まず仮に裏方で復帰するにしても、関係者に対するハラスメント疑惑、これがあったのか?なかったのか? もし思い当たるところがあるならば、それに対する謝罪や今後はしないという意思表明は必要。もし仮に表舞台に立つときにはハラスメント疑惑についてぶり返されることになるので、このタイミングでハラスメント疑惑についてもきちんと見解を出していく必要がある」と提言した。
復帰について河西氏は「復帰、執行猶予中は裏方の仕事を、執行猶予明けに表舞台に立つのではないか」と推測し「前提として執行猶予中であったとしても、普通に社会生活は送れるし仕事に制限はない。なので舞台に立つことも法律上は問題ない。ただ、芸能界において執行猶予期間中は表舞台は控える傾向にある。今回、執行猶予5年と長いので、例えば2年、1年のうちにテレビとなると、公共性、公益性の問題が出てくる。だが舞台とか歌舞伎は見たい人が見に行くわけで、そこについては復帰していくのはアリかなと思う」と私見を述べた。