ボートレース大村のプレミアムGⅠ「第5回ボートレースバトルチャンピオントーナメント」が11日に開幕する。昨年のSG&PGⅠ覇者らが勢ぞろいする新年1発目のビッグレース。全レースが3着条件の勝負駆けのトーナメント方式で4日間の熱戦が繰り広げられる。この独特の大会を楽しみにしているのがボートレースファン歴45年の元天才ジョッキー・田原成貴氏(64)。かつて自身が経験した「3着条件」の懐かしい記憶とともに大会を占った。

【田原成貴氏が熱く語る】年明け早々、なんという豪華メンバーだ。昨年のボートレース界を盛り上げ、ビッグレースで頂点に輝いた選手ばかり。どのレースを見てもワクワクするようなメンバー構成となっている。

 さらに今大会は一風変わったコンセプト。1回戦から準決勝まで全レースが3着条件のトライアルなので、舟券を買う側も最後まで気を抜けない。インの強い大村が舞台だけに、私は1号艇を軸に舟券を買うつもりだが、いつも以上に「3着争い」を真剣に考えようと思っている。それにしてもボートレース振興会には相当のアイデアマンがいるのか。手を替え品を替え、こうして斬新な企画を考えてくれるから我々ファンは常に新鮮な気持ちでボートレースを楽しむことができる。

 全レースが3着条件。いったい選手はどんな心理なのか。1号艇の選手はインから逃げるのみだが、外枠の選手は通常のレースとは違うだろう。普段ならまくり差して突き抜けるイメージを描く状況でも、今大会は大敗を避けて手堅く3着以内を目指すのではないか。もちろんレーサーは常に1着を狙うが、頭の片隅に「3着以内」という意識があると、瞬時の判断が微妙に変わるはず。その戦法を予想するのも面白い。

 そんな選手心理を考えていたら、ふとジョッキー時代のトライアルを思い出した。ご存じの通り、競馬にも3着以内にGⅠ出走権が与えられるトライアルレースが存在する。例えば私がマヤノトップガンで制した菊花賞、マックスビューティに騎乗して勝った桜花賞。それぞれ1~3着に出走権が与えられるトライアルの神戸新聞杯、チューリップ賞には自分が騎乗して権利をつかみ取った。もちろんクラシックを目指していたから「3着以内」を頭に入れて騎乗した。

 だが、最もプレッシャーを感じたのは〝人の馬〟に乗ってトライアルを戦った時だ。しかも、その人とは天才・武豊くん。彼はオグリローマンという馬で桜花賞を狙っていたが、その権利を取るための前哨戦・チューリップ賞には私が代役で乗ることになったのだ。ユタカくんは他馬の事情もあって不在。あのさわやかな笑顔で「成貴さん、権利を取ってくださいね!」と言われたもんだから、何としても3着までに入らなければ…と相当な重圧を受けたことを覚えている。結局、後方からうまく運んで2着に入線して権利を得た。その後、ユタカくんはオグリローマンで桜花賞を勝った。「成貴さんが権利を取ってくれたおかげです」。この時のユタカくんの言葉と笑顔は今でも忘れられない。

 そんな思い出とともに今回のバトルチャンピオントーナメントを楽しもうと思う。注目選手はたくさんいるが、私が応援するのはやっぱり峰竜太さん。昨年はSG復帰戦となったボートレースダービーで通算100V、全24場制覇のオマケが付く劇的な優勝を果たした。グランプリでは惜しくも準Vだったが、我々にドラマを存分に見せてくれた。私が彼を愛してやまないのは、さあ2024年も!と期待して見ていた正月開催(からつ)の初日にフライングを切ってしまうところ。これだから峰さんのファンをやめられない。ドラマチックな優勝もすてきだが、こういったチョンボに人間臭さを感じてしまう。

 グランプリを制した石野貴之さん、前年覇者の王者・松井繁さんにも期待したい。何と言っても大阪支部の新旧「賞金王」の看板を背負う2人。負けられない石野、譲れない松井。どっちの意地が勝つのか、楽しみにしている。

 余談になるが、決勝戦の枠番を決めるのは名物「あみだマシン」。まさに2024年の運を占うおみくじだ。1枠=大吉を引く選手にもぜひ注目したい。