宗教団体「エホバの証人」の元2世信者らが20日、国会内で開かれた立憲民主党「『エホバの証人』の虐待被害者からヒアリング」に出席した。

 エホバの証人は1870年代に米国で発足したキリスト系の宗教団体。教義として聖書の教えを厳格に守る原理主義があるという。

「エホバの証人問題支援弁護団」は今年5~6月にインターネットを通じて全国の元2世信者581人を対象にアンケート調査を実施した。その結果、輸血拒否や親が子どもへにむち打ちを行っていたという調査結果を公表した。

 教団内で現実に起きた輸血拒否の事例データを持つ元幹部だった根尾啓太さん(仮名)は「今回の弁護団の報告書をよく拝読しましたが、実際にこうした活動をしてきたものとしては、輸血拒否についての報告書の指摘はとても正確なもので、真実を反映していると強く感じます」とした上で輸血拒否の実例をこう明かした。

「たとえば、内臓がつぶされながらも両親の輸血拒否により、治療ができず、数か月の間、相当の苦しみを強いられたごく小さな幼児。体に痛みを覚え、すぐに規模の大きな病院に転院しながらも、輸血拒否をしたためにわずか数日で死亡したケース。妊婦さんが早産で大量出血し、輸血拒否をしたため母子ともに死亡した。当時のデータは今も私の手元に存在します。これは日々、起きているであろう現実事例なのです」

 宗教3世のナオトさん(仮名・20歳)は、10歳の時に学校の検診で心臓の真ん中部分に大きな穴が開いている「心房中隔欠損症」とわかり、医者から病院で検査を受けて手術した方がよいとの説明を受けた。

 しかし両親は輸血を拒否し手術に同意してくれず毎年、1年に1回病院に行くたびに同じやりとりが繰り返され、8年間も続いたという。

「お医者さんに行くたびに親が輸血を拒否するのですが、病院から帰るたびに毎回、親から鞭をされました。鞭をされたのは『どうして自分の口で輸血を拒否するとハッキリ医者に伝えないんだ』との理由でした。宗教のせいで親から手術を拒否され、命の危険に不安になっているのに、そのつど鞭をされるということでどれだけ絶望的な気持ちになったか、想像していただけると思います」(ナオトさん)

 成人になった18歳の時に自分の意思で手術を受けることができたというナオトさん。しかし「その時の輸血の承諾書の立会人欄に、親は最後までサインせず、見かねた看護師さんがかわりに立会人のサインをしてくれました」

 政界関係者によると教団側は近日中にプレスリリースを出す予定だという。